介護老人保健施設及び介護療養型医療施設における経営実態及びマネジメント実施状況に関する研究

文献情報

文献番号
200619012A
報告書区分
総括
研究課題名
介護老人保健施設及び介護療養型医療施設における経営実態及びマネジメント実施状況に関する研究
課題番号
H16-長寿-一般-029
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
小山 秀夫(静岡県立大学大学院経営情報学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,723,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、介護保険制度における介護老人保健施設及び介護療養型医療施設の経営状況とマネジメント状況が介護報酬等に与える影響を調査し、これらの調査から、介護保険施設に必要なマネジメント理論を構築することである。
研究方法
 本研究は、3年計画で、最終年度である今年度は研究委員会を組織し、研究を実施した。①文献サーベイ等から介護保険制度改革とマネジメント理論についての分析を行い、制度改革においてどのようにマネジメント理論が展開されたかを明らかにした。②イギリスやドイツの動向から我が国の政策を検討し、③介護老人保健施設における経営についての意識調査を行った。調査は平成19年2月の2週間に行い、全国老人保健施設協会会員施設3,237施設に対して調査票を送付し、回収数は1,565施設、回収率は48.3%であった。また、④3年間を通して海外の高齢者ケアの経営に関する文献サーベイを行い、⑤研究の総括を行った。
結果と考察
 第1に、介護保険制度改革とマネジメント理論についての整理を行うにあたって、分析枠組みを明らかにした上で、①制度改正の目標と問題の所在についての確認作業を行い、②公共マネジメントの変化について言及し、③事業ドメインの変化と制度改正を、サブシステムとしての栄養ケア・マネジメント導入や居住費・食費利用者負担の導入から例証し、④コスト・パフォーマンスと地域ケア構想についての検討を行った。第2に、近年のイギリスの動向から、消費者主導型ケアと消費者の選択を促進し、費用効率や質の向上を図るという試みを行っていることが明らかとなった。第3に、①平成17年9月以前から平成18年9月以降の経営状況については、利用者数は増加が多く、②経営状況は「不調」と捉えている施設が多かった。
結論
 介護保険制度改革が各種のマネジメントを見直し、新たにPDCAサイクルが廻るような実態にするための改正が行われたと考えることができる。それは、部分的な改正ではなく、制度全体の不都合を是正し、新たな計画を提案するとともに、報酬面ではインセンティブを与え地域ケア構想を実現させるという壮大な実験の開始宣言であると結論できる。またイギリスの政策からは、日本とは異なる現金給付によるサービス提供について、わが国にも適用可能かどうかについての検討を続ける必要がある。介護老人保健施設の調査については、マネジメントの必要性は理解しているものの、収益等について実態と印象が若干乖離しており、マネジメントとしてどこに目標を設定するのか等の意識を施設管理者が持つ必要があるという知見が得られた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-17
更新日
-

文献情報

文献番号
200619012B
報告書区分
総合
研究課題名
介護老人保健施設及び介護療養型医療施設における経営実態及びマネジメント実施状況に関する研究
課題番号
H16-長寿-一般-029
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
小山 秀夫(静岡県立大学大学院経営情報学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、介護保険制度における介護老人保健施設及び介護療養型医療施設の経営状況とマネジメント状況が介護報酬等に与える影響を調査し、これらの調査から、介護保険施設に必要なマネジメント理論を構築することである。
研究方法
 ①日米の介護労働に関わる研究の動向を、外部協力研究者を含めた研究会における確認、②介護保険制度下における居宅介護支援事業・居宅サービス計画策定の今日的課題について概要のまとめ、③特殊疾患療養病棟の現状についての調査、④日本療養病床協会、全国老人保健施設協会で実施した調査結果の精査から、介護報酬改定、診療報酬改定等の影響並びに実態把握調査のための調査票案の検討、⑤イギリスにおける施設ケアの費用負担問題、インターミディエイト・ケアの早期退院施策の動向並びに医療改革の方向性と高齢者ケア施設のマネジメントに与える影響についての考察を行い、⑥ドイツにおける介護保険制度の改革状況を調査分析し、⑦介護老人保健施設における経営についての意識調査等を行った。
結果と考察
 ①米国やイギリスの動向から、我が国と同様の問題への対応方法の相違点が明らかとなり、諸外国における動向を我が国の政策に活かす必要性が明らかとなった。②老人保健施設に対して行った調査の結果から、介護報酬改定以降、人材確保、設備の老朽化、将来の見通し、経営状況に困っていると答えた施設が多いことが明らかとなった。マーケティングについても、明確とはいえない傾向があった。調査結果から、介護老人保健施設におけるマネジメントはいくつかの施設では意識的に実施されているが、いまだ多くの施設では意識されていないことが明らかとなった。
結論
研究では、介護療養型医療施設の廃止、療養病床の再編、地域ケア構想と言った一連の制度改革および後期高齢者医療制度議論などにより、当初の研究計画を変更せざるをえない状況に追い込まれた。変化のスピードはあまりにも速く、介護保険関係の制度政策に関する調査研究は、極端に時間的制約を受けざるをえない。このような中で、よりベターな政策判断の基礎となるデータ分析や意思決定のための質の高い情報をえる努力は今後とも必要である。特に、制度のマネジメントと介護保険事業のマネジメントとの関係は、きわめて重要であり、この分野の調査研究が正確に行われる必要がある。この意味では、今後とも研究を継続する必要があるとともに、各種の研究を横断的に検証することが、大きな課題となっている。

公開日・更新日

公開日
2007-04-17
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200619012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 介護老人保健施設の経営意識調査は、介護保険制度改正、介護報酬改定前後の経常利益の増減を独立変数として、施設のマネジメントとマーケティングの影響を統計的に観察したものであり、経営学分野のマーケティング研究として専攻業績があるものの、介護経営学分野の業績としては初めての試みである。ただし、結果的にみれば、老人保健施設の経営はマーケティングが重視されているわけでもなく、マネジメントも必ずしも十分でないという知見が得られたにすぎない。
臨床的観点からの成果
 マネジメントに関する研究であり、臨床知見はない。
ガイドライン等の開発
 なし
その他行政的観点からの成果
 介護保険改正後の行政上の大きな課題の一つは、地域ケア体制構想と療養病床再編であることは自明であるが、介護保険施設の経営のマネジメントとマーケティングの観点からの行政的対応を行わない限り、各地域で大きな混乱が予想できる。そのため、本研究の結果から、マネジメントとマーケティングを重視すれば、療養病床を他の施設や事業に転換しても経営的な問題が解消可能であるということを明確化することが必要である。そのための基礎的実践的な研究である。
その他のインパクト
 NPO法人介護経営学会と共同で、介護経営、マネジメントに関する公開シンポジウムを行った。また、介護経営や介護に関わるマネジメントについて、マスコミの取材に応じており、少しずつではあるがインパクトは大きくなっていると考える。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
非営利特定活動法人日本介護経営学会と共同で、公開シンポジウムを開催した。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-