文献情報
文献番号
200619011A
報告書区分
総括
研究課題名
入院医療と在宅ケアの連携のあり方に関する調査研究
課題番号
H16-長寿-一般-027
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
池上 直己(慶應義塾大学 医学部医療政策・管理学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,972,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
要介護者が病院に入院した直後から退院時に向けて適切なケアを提供し、退院後も切れ目のないケアを提供できるように、医療と介護のケアの連続性を保てるような体制を病院・在宅機関・介護施設において確立することである。
研究方法
本研究の連携方式は、入院時においては、入院前の定常状態の把握するために、看護師がMDS-AC(Minimum Data Set – Acute Care)を用いてアセスメントを行い、「サマリーシート」にまとめ医師の治療にも役立つよう工夫した。また、介護支援専門員・施設の看護師からは「入院前ケアの留意書」を入手し、ケアの連続性に留意した。退院時においては、退院後のケアや連携に必要な情報を医師と看護師が共同で「退院後ケアの留意書」に記載し、患者・家族に説明を加えて渡すとともに、本用紙のコピーを、在宅機関・介護施設に送付し、共通の書式を用いた情報の共有に留意した。
対象は、全国の12病院より計20病棟において、2006年6月1日から7月31日までに当該病棟に入院した患者のうち、要介護認定を受けている患者、退院時までに認定される可能性の高い患者とし、計239名について分析した。
実施した連携方式の評価を得るため、患者・家族と、病院の医師・看護師にアンケート調査を行い、在宅機関・介護施設に電話でインタビューを行った。
対象は、全国の12病院より計20病棟において、2006年6月1日から7月31日までに当該病棟に入院した患者のうち、要介護認定を受けている患者、退院時までに認定される可能性の高い患者とし、計239名について分析した。
実施した連携方式の評価を得るため、患者・家族と、病院の医師・看護師にアンケート調査を行い、在宅機関・介護施設に電話でインタビューを行った。
結果と考察
(1)入院時の連携について
MDS-ACを用いて収集した情報を、58.2%の看護師が看護計画に反映させており、退院時の目標を看護計画に反映させることの重要性を実感していた。医師向けの「サマリーシート」は、見た医師の9割以上が入院治療を行ううえで有用と評価していた。「入院前ケアの留意書」を受け取った看護師のうち、60.2%が入院中の看護に「役立った」と回答した。(2)退院時の連携について
「退院後ケアの留意書」を受け取った患者・家族の64.4%が「今後も退院するときに欲しい」と回答した。看護師は「患者向けにわかりやすく記入できた」、医師は「次回の入院時にも活用したい」という意見があった。また、ケアマネジャーからは、回答した全員が有用と評価しており、特に病院から直接情報を受け取れることや、医師からの具体的な記述があることを理由として挙げた。
MDS-ACを用いて収集した情報を、58.2%の看護師が看護計画に反映させており、退院時の目標を看護計画に反映させることの重要性を実感していた。医師向けの「サマリーシート」は、見た医師の9割以上が入院治療を行ううえで有用と評価していた。「入院前ケアの留意書」を受け取った看護師のうち、60.2%が入院中の看護に「役立った」と回答した。(2)退院時の連携について
「退院後ケアの留意書」を受け取った患者・家族の64.4%が「今後も退院するときに欲しい」と回答した。看護師は「患者向けにわかりやすく記入できた」、医師は「次回の入院時にも活用したい」という意見があった。また、ケアマネジャーからは、回答した全員が有用と評価しており、特に病院から直接情報を受け取れることや、医師からの具体的な記述があることを理由として挙げた。
結論
今回の連携方式について、関係者それぞれより概ね肯定的な評価を得た。本研究で用いたMDS-ACのアセスメントは入院中のケアに有用であり、開発した「退院後ケアの留意書」は、急性期病院と在宅機関・施設間での切れ目のないケアの実現に寄与できると考えられた。そこで、これらの普及・整備が今後の課題である。
公開日・更新日
公開日
2007-04-12
更新日
-