24時間訪問介護・看護の効果的・効率的な実施方法の開発研究―夜間・早朝の訪問看護必要者の発見と提供方法の標準化―

文献情報

文献番号
200619006A
報告書区分
総括
研究課題名
24時間訪問介護・看護の効果的・効率的な実施方法の開発研究―夜間・早朝の訪問看護必要者の発見と提供方法の標準化―
課題番号
H16-長寿-一般-013
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
村嶋 幸代(東京大学 大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻 地域看護学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 田口 敦子(東京大学 大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻 地域看護学分野 )
  • 永田 智子(東京大学 大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻 地域看護学分野 )
  • 岡本 玲子(神戸大学 医学部保健学科 地域看護学)
  • 田上 豊(三菱総合研究所 社会システム政策研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,344,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域ケアとしての実現可能性を高めるため、4市に存在する複数の訪問看護ステーション(以下、ステーションとする)が連携して夜間・早朝の計画的訪問を行う体制を構築した。そして、その体制構築方法の明確化と利用者への効果の検証を行った。平成18年度は、夜間・早朝の計画的訪問を行う連携体制を、同一法人だけでなく、4市にある全てのステーション13か所(そのうち2か所はサテライト)に拡大し実施した。
研究方法
チェックシートと事例検討により、夜間・早朝の訪問看護必要者を4市の全ステーションの利用者から選定し、同意が得られた対象者に、夜間・早朝の訪問看護を約5か月間提供した。データは、訪問看護師および対象者(本人または家族)から得た。訪問看護師には、対象者の基本情報や経過に関する調査票への記入、夜間・早朝の訪問看護体制の構築過程について記述を依頼した。各対象者からは、訪問看護師の利用やそれによる変化について調査票への記入およびヒアリングを、提供期間の前後に依頼すると共に、必要な評価項目について測定した。
結果と考察
夜間・早朝の計画的訪問の提供体制を構築する際には、連携するステーション同士が、夜間・早朝の訪問看護体制構築への不安や疑問を共有し、解決策を見出しながら進めることが重要であることが分かった。そのため、24時間ケアのためのワーキングメンバーによる検討委員会を定期的に開催した。
なお、利用者側への効果として、①誤嚥性肺炎のために入退院を繰り返していたが、訪問看護師の夜間・早朝の吸引によって在宅療養を継続できるようになった、②夜間・早朝の訪問で看護師がインシュリンを注射することによって、低血糖発作が少なくなり、家族が安心できた等が昨年度同様に見られた。一方、ステーションへの効果としては、昨年よりも夜間・早朝帯の連携ステーションが多くなったことで、さらに一定以上の利用者数を確保でき、夜間・早朝の人件費を賄うことができた。
結論
複数のステーションが連携して夜間・早朝の計画的訪問を行う連携体制モデルの実施によって、利用者やステーションの双方に効果があった。また、夜間・早朝の訪問看護提供体制の構築方法を蓄積することができた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200619006B
報告書区分
総合
研究課題名
24時間訪問介護・看護の効果的・効率的な実施方法の開発研究―夜間・早朝の訪問看護必要者の発見と提供方法の標準化―
課題番号
H16-長寿-一般-013
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
村嶋 幸代(東京大学 大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻 地域看護学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 田口 敦子(東京大学 大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻 地域看護学分野 )
  • 永田 智子(東京大学 大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻 地域看護学分野 )
  • 川越 博美(元聖路加看護大学)
  • 岡本 玲子(神戸大学 医学部保健学科 地域看護学)
  • 田上 豊(三菱総合研究所 社会システム政策研究部)
  • 国井 由生子(横浜市立大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
在宅要介護者の中には、夜間・早朝に訪問看護が必要となる場合がある。しかし、我が国の訪問看護ステーション(以下、ステーション)は、小規模であるため1か所のステーションのみで提供することは経営上困難である。そこで、夜間・早朝の訪問看護を効果的・効率的に提供することを目指し、ステーションが連合し夜間・早朝の訪問看護・介護を提供するための体制構築方法の標準化、および提供効果の明確化を図った。
研究方法
まずは、夜間・早朝の訪問看護を同一法人である3か所のステーションが連携して提供することから始めた(平成17年)。その後、同一法人に限ることなく連携体制を築き上げるため、4市にある全12か所のステーションとの連携に拡大した。連携した全ステーションの利用者を対象に夜間・早朝の訪問看護必要者を発掘して提供し、利用者への効果を測定した(平成18年)。夜間・早朝の訪問看護必要者アセスメントシートの開発では、訪問看護および夜間・早朝の訪問看護を必要とする者を選定するためのシートを洗練し(平成16,17年)、記入方法の解説を作成した(平成17年)。
結果と考察
夜間・早朝の訪問看護体制構築では、夜間・早朝拠点の設置場所、インフラ整備、訪問看護師の確保、夜間・早朝訪問の申し送り方法、サービスの質確保等について明確にし、実施マニュアルを作成した。
複数のステーションが連合して夜間・早朝の計画的訪問看護を提供することによって効果が大きかった対象者は、①寝たきり等で、誤嚥性肺炎が高い者、②認知症等で、インシュリンの自己注射が困難な者、③ターミナル期等で、病状が不安定な者、④難病等、医療依存度が高く、日常的なケアの際に病態の理解が必要な者、夜間・早朝に医療処置や看護処置がある者、⑤医療依存度が高く、病院から在宅への移行に支援を要する者、⑥確実な内服が必要であるが、自己管理が困難な者であることが明確になった。
夜間・早朝の訪問看護必要者アセスメントシートの開発では、アセスメントシートを修正し信頼性・妥当性を高め、医療的な知識が少なくてもチェックできるよう、全アセスメント項目について解説を作成した。
結論
複数のステーションが連携して夜間・早朝の計画的訪問を行う連携体制モデルの実施によって、利用者やステーションの双方に効果があった。また、夜間・早朝の訪問看護提供体制の構築方法を蓄積することができた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-24
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200619006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究の成果は、計画的な夜間・早朝訪問看護の提供体制の構築方法を明確化し、その提供効果を検証することができたことである。近年、入院日数の短縮化が進み、病院と同様に、地域においても時間帯を問わず医療を提供する必要性が高まっている。本研究は、今後さらに必要性が高まると考えられる、地域医療システムの充実に貢献し得る研究である。
臨床的観点からの成果
夜間・早朝の訪問看護の提供により、スムーズな病院から在宅への移行、医療依存度が高い患者を抱えた家族の不安の軽減、誤嚥性肺炎のため再入院を繰り返した者への在宅療養の継続等の効果が見られた。夜間・早朝の訪問看護は、近年課題となっている在院日数の短縮やスムーズな在宅への移行に貢献できる可能性が示唆された。
ガイドライン等の開発
現在は24時間計画的な訪問看護を提供するステーションは全国的に少ないため、提供方法の蓄積が不十分である。そのため、ガイドラインの作成は急務である。本研究では、夜間・早朝の訪問看護体制を構築することで、夜間・早朝拠点の設置場所、インフラ整備、訪問看護師の確保、夜間・早朝訪問の申し送り方法、サービスの質確保等について明確化し、マニュアルとしてまとめた。また、普及のためのパンフレットを作成した。
その他行政的観点からの成果
ワーキンググループには毎回4市と県の保健師が出席し、その市での実施可能性について検討した。現在の医療制度では実施が困難な点があることが明らかとなり、24時間の訪問看護体制の構築は、行政と協同して取り組む必要性があることが示唆された。
その他のインパクト
地域の関係職種(行政、医師会、社会福祉協議会会長、民生委員、介護者の会の会長など)を対象に、夜間・早朝の訪問看護体制構築やその効果について報告会を行った。
2006年2月10日の朝日新聞で、本研究事業結果に基づいた、夜間・早朝の訪問看護体制構築についてのコメントが掲載された(記事名:揺らぐ在宅医療)

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
5件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-