制御性T細胞を用いた肝・小腸・肺・膵島移植における免疫寛容の誘導

文献情報

文献番号
200615014A
報告書区分
総括
研究課題名
制御性T細胞を用いた肝・小腸・肺・膵島移植における免疫寛容の誘導
課題番号
H18-トランス-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
小柴 貴明(京都大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 上本伸二(京都大学医学部付属病院 肝胆膵移植外科)
  • 前川 平(京都大学医学部附属病院 輸血部)
  • 坂口志文(京都大学医学部再生医学研究所)
  • 湊 長博(京都大学医学部感染・免疫学講座)
  • 芹川忠夫(京都大学医学部附属動物実験施設)
  • 李  頴(京都大学大学院医学研究科先端領域融合医学研究機構)
  • 庄司 剛(京都大学医学部附属病院呼吸器外科)
  • 小林英司(自治医科大学分子病態治療研究センター臓器置換研究部)
  • 大段秀樹(広島大学創生医科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 基礎研究成果の臨床応用推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
66,896,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
免疫寛容を誘導する革新的方法である制御性 T 細胞(Tregs)による細胞養子免疫療法を前臨床モデルのミニブタ移植の系を用いて施行し、有効性と安全性を確認したうえで臨床試験を開始することで基礎医学の成果を適切に臨床の現場に役立てる。
研究方法
MHCの定まった異なる2系統のクラウン系ミニブタをそれぞれドナーとレシピエントに選び肝移植, 肺移植、小腸移植、膵島移植を行う。移植に先立って、レシピエントの末梢血からTregsを分離して、ドナー抗原特異的な免疫抑制能を有するTregsを試験管内で培養増殖させる。増殖したTregsは、ドナー抗原特異的免疫制御能が存在することをリンパ球混合試験にて確認した後に、移植時に移植臓器へ向かって経動脈的に投与して、拒絶が起こらないようにできるかどうか検討する。また、各々の細胞を移入したときに、レシピエントに副作用が生じないか観察する。またこれまで、臨床で使用されてきた免疫抑制剤をTregsと併用にした場合、免疫寛容の誘導にどのような影響を与えるかを調べる。
結果と考察
ミニブタの肝、肺、小腸、移植モデルを確立した。また、ミニブタにもヒト、マウスの制御性T細胞のcounterpart があることを明確にして、同細胞を分離して、ドナー抗原と一定期間試験管内で培養することでドナー抗原特異的な免疫抑制活性を獲得させる手技を確立した。
結論
これまでわが国では、前臨床大動物モデルとしてイヌ、霊長類が用いられてきた。しかし、今後イヌは動物愛護の面から使用しにくくなると考えられ、霊長類は管理にかかる費用が高額であることから使用が難しい。また、臓器移植の実験では主要組織適合性抗原の定まった系の使用が好ましいが、このような系が存在するのはミニブタだけである。初年度にミニブタの各種臓器移植モデルと、Tregs 培養の技術を確立することで、前臨床大動物モデルにおける制御性 T 細胞(Tregs)による細胞養子免疫療法施行のための準備が整った。

公開日・更新日

公開日
2007-10-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-10-31
更新日
-