文献情報
文献番号
200615012A
報告書区分
総括
研究課題名
国産新規ウイルスベクターを用いた重症虚血肢に対する新GCP準拠遺伝子治療臨床研究
課題番号
H18-トランス-一般-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
米満 吉和(九州大学大学院医学研究院消化器・総合外科学、遺伝子治療臨床研究準備室)
研究分担者(所属機関)
- 中西 洋一(九州大学病院 高度先進医療センター)
- 小野原 俊博(九州大学大学院医学研究院消化器・総合外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 基礎研究成果の臨床応用推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
52,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、全く新しい概念に基づく国産新規ウイルスベクター(組換えセンダイウイルス:SeV)による、慢性動脈閉塞症(重症虚血肢)に対するPhase I・IIa相臨床研究であり、具体的に以下を目的とする。
1.国産ウイルスベクターSeVの臨床上の安全性の確認
2.効果を示すと考えられる用量の確認
3.新GCP準拠臨床研究による第I・II相臨床データの集積
本遺伝子治療臨床研究は、12例を対象とし3年で完了する。その後は企業主導の後期相治験へ移行し、製剤化を目指す。
1.国産ウイルスベクターSeVの臨床上の安全性の確認
2.効果を示すと考えられる用量の確認
3.新GCP準拠臨床研究による第I・II相臨床データの集積
本遺伝子治療臨床研究は、12例を対象とし3年で完了する。その後は企業主導の後期相治験へ移行し、製剤化を目指す。
研究方法
【研究方法】
臨床研究はオープンラベル、用量漸増式試験であり、第I、IIa相に相当する。4段階の投与量を設定、投与後1ヶ月の経過観察において3人の患者に問題がないことを確認後、第三者委員会の判定によりステージアップする。
臨床研究はオープンラベル、用量漸増式試験であり、第I、IIa相に相当する。4段階の投与量を設定、投与後1ヶ月の経過観察において3人の患者に問題がないことを確認後、第三者委員会の判定によりステージアップする。
結果と考察
【進捗状況と考察】
既に2例に実施された。1例目(症例登録番号102)の被験者(Fontaine III度)において重篤な有害事象は認められず、極少量投与(予定最大投与量の1/100)にも関わらず、仮データ固定が終了した時点で、10種の効能評価項目中4項目で改善がみられた。
2例目(症例登録番号103)の被験者(Fontaine IV度)は、紹介時より患肢(右第5趾)の乾性壊疽を認めた。遺伝子治療後15日目に下腿部での切断が最も安全であると判断され、右下腿切断術が施行された。下腿切断後、全身炎症反応は速やかに正常化した。
切断された右下腿は詳細な病理組織学的・分子生物学的解析に供し、巣状の骨格筋再生像など被験薬から発現される治療遺伝子産物の生理活性を示唆する所見を得た。
本重大事態は遺伝子治療臨床研究実施計画書に則り、当日に所轄官庁、病院長、関連学内委員会へ周知がなされた。以後各委員会にて慎重に検討された結果、被験薬との因果関係は低いと判断され、臨床研究の進行に影響を及ぼす事態でないことが確認された。
既に2例に実施された。1例目(症例登録番号102)の被験者(Fontaine III度)において重篤な有害事象は認められず、極少量投与(予定最大投与量の1/100)にも関わらず、仮データ固定が終了した時点で、10種の効能評価項目中4項目で改善がみられた。
2例目(症例登録番号103)の被験者(Fontaine IV度)は、紹介時より患肢(右第5趾)の乾性壊疽を認めた。遺伝子治療後15日目に下腿部での切断が最も安全であると判断され、右下腿切断術が施行された。下腿切断後、全身炎症反応は速やかに正常化した。
切断された右下腿は詳細な病理組織学的・分子生物学的解析に供し、巣状の骨格筋再生像など被験薬から発現される治療遺伝子産物の生理活性を示唆する所見を得た。
本重大事態は遺伝子治療臨床研究実施計画書に則り、当日に所轄官庁、病院長、関連学内委員会へ周知がなされた。以後各委員会にて慎重に検討された結果、被験薬との因果関係は低いと判断され、臨床研究の進行に影響を及ぼす事態でないことが確認された。
結論
【結論】
現時点で第1ステージは終了していないため明確な言及は不可能だが、既に投与を実施した2例の結果から、少量(理論的にプラスミドDNAと同等の発現レベル)の投与量であれば、被験薬に直接的に関係する副作用等の危険性は低いと示唆された。またうち一例では、一部の効能評価データにおける改善を認めた。
今後症例を積み重ねることにより、本被験薬の効能と安全性が、より明確になると思われる。
現時点で第1ステージは終了していないため明確な言及は不可能だが、既に投与を実施した2例の結果から、少量(理論的にプラスミドDNAと同等の発現レベル)の投与量であれば、被験薬に直接的に関係する副作用等の危険性は低いと示唆された。またうち一例では、一部の効能評価データにおける改善を認めた。
今後症例を積み重ねることにより、本被験薬の効能と安全性が、より明確になると思われる。
公開日・更新日
公開日
2007-04-03
更新日
-