アディポネクチンを標的にした糖尿病・メタボリック症候群の新規診断法・治療法の臨床応用

文献情報

文献番号
200615007A
報告書区分
総括
研究課題名
アディポネクチンを標的にした糖尿病・メタボリック症候群の新規診断法・治療法の臨床応用
課題番号
H17-トランス-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
門脇 孝(東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科)
研究分担者(所属機関)
  • 山内 敏正(東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科)
  • 戸辺 一之(東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科)
  • 原 一雄(東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科)
  • 堀越 桃子(東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 基礎研究成果の臨床応用推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
25,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我々がインスリン感受性物質であることを明らかにしたアディポネクチン、並びに世界に先駆けて単離・同定したアディポネクチン受容体に関してこれまでに得られた研究成果と、それに基づく特許を最大限活用することによって糖尿病の画期的診断法を確実に開発し、よって活力ある高齢化社会の実現に大きく寄与することを目的とする。
研究方法
ヒト血漿から抗体アフィニティークロマトグラフィーによりアディポネクチンを分離しC2C12myoblastの培養液に添加し細胞膜への結合能を測定した。アディポネクチンを1μg/mLを含む各分画溶液を準備し37℃で5分間培養後にAMPKの活性化の程度を測定した。本研究で開発した高分子量アディポネクチン測定試薬の医薬品製造販売承認申請に必要と考えられる臨床データを取得するための臨床試験DI-6101を(株)第一化学と共同で実施する。
結果と考察
ヒト血漿から、3量体のLMW、6量体のMMW及び12?18量体のHMWアディポネクチンを見出していた。それぞれのアディポネクチン分画についてアミノ酸のN末端の配列を詳しく解読したところ、LMWアディポネクチンに1分子のalbuminが結合したAlb-LMWアディポネクチンの存在を確認した。LMW,MMW,HMW及びAlb-LMWアディポネクチンについて、proteaseによる分解の選択性を検討した結果、それぞれのフォームを選択的に認識して分解するproteaseを見出し、HMW画分を直接的に測定する事が出来ることを報告した。本測定法のインスリン抵抗性・メタボリックシンドローム診断能については糖尿病、冠動脈疾患患者約300名を対象に検討を行い、総アディポネクチンに比してもメタボリックシンドロームの診断能が高いことを報告した。本測定試薬の医薬品製造販売承認申請に必要と考えられる臨床データを取得するための臨床試験DI-6101について、対象者のリクルートを行っている。
結論
臨床試験DI-6101によってHMWアディポネクチン測定が臨床現場でより広汎な対象者に応用可能であることが確認できると期待される。本研究によって得られる成果は、糖尿病診療水準の大幅な向上につながることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2007-04-24
更新日
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