術中MRI下腹腔鏡下手術システムの確立

文献情報

文献番号
200615004A
報告書区分
総括
研究課題名
術中MRI下腹腔鏡下手術システムの確立
課題番号
H16-トランス-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
橋爪 誠(九州大学大学院医学研究院災害・救急医学)
研究分担者(所属機関)
  • 掛地 吉弘(九州大学病院第二科)
  • 川中 博文(九州大学病院第二科)
  • 田上 和夫(九州大学病院先端医工学診療部)
  • 家入 里志(九州大学病院先端医工学診療部)
  • 村垣 善浩(東京女子医科大学大学院先端生命医科学研究所先端工学外科分野)
  • 中島 秀彰(九州大学大学院次世代低侵襲治療学)
  • 岡崎 賢(九州大学大学院次世代低侵襲治療学)
  • 小西 晃造(九州大学大学院次世代低侵襲治療学)
  • 村田 正治(九州大学大学院ナノバイオメディスン講座)
  • 洪 在成(九州大学大学院ナノバイオメディスン講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 基礎研究成果の臨床応用推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
12,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在のがん治療は、診断技術と治療技術の発展により、術前に得られた診断画像によって手術計画を立て、術中は光学的な内視鏡情報に基づいた腹腔鏡下手術が選択肢の一つとなっている。本研究では、術中MRIを併用した腹腔鏡下手術システムを確立し、術中に得られる診断情報と術中情報の連携による、安全性の一層の向上、がん患者のQOLのさらなる改善を実現することを目的とする。
研究方法
本研究で開発したMR対応内視鏡について、液晶3Dモニター(新興光器製作所)を活用することにより、腹腔内の立体視が可能となった。18年度、臨床応用に向けて、本内視鏡のヒト安全性について試験を行った。漏れ電流、及び滅菌については必要な処理を施した。処理後の内視鏡は、エチレンオキサイドガスによる滅菌によって内視鏡の性能に変化がないこと、MR対応性をASTM Internationalの提唱する試験(F2182)によって検証した。
術中MRI画像を利用した3次元画像提示ソフトについては、術中MRI画像より得られた腹腔内臓
器の3次元情報をユーザーの要求に応じて提示し、臓器内の目に見えないターゲットを抽出表示することにより、腹腔鏡下手術を支援する。今年度は、内視鏡の位置情報を光学式3次元位置計測装置によって取得することで、内視鏡方向から見たMR画像をボリューム表示し、術者が内視鏡映像と同じ視野でMRI情報を参照できるように改良した。
結果と考察
滅菌対応済みのMR対応内視鏡は、エチレンオキサイドガスによる滅菌によって内視鏡の性能に変化がないことを確認した。MR対応性については、治療に支障のない術中MRI画像が得られること、撮影中に印加される高周波によって人体に影響を及ぼす発熱を起こさなかった。
術中MRI画像を利用した3次元画像提示ソフトについては、術者が内視鏡映像と同じ視野でMRI情報を参照できるよう改良し、た。また、術中MR lymphangiographyと併用することにより、癌のみならず術中のリンパ節ナビゲーションも可能になることを確認した。
結論
先端CCD方式によるMRI対応内視鏡のヒト安全性を確認し、術中MRIによるボリューム情報を従来の内視鏡外科手術で利用する新しい支援ソフトを開発し、その有用性を確認した。

公開日・更新日

公開日
2007-09-19
更新日
-

文献情報

文献番号
200615004B
報告書区分
総合
研究課題名
術中MRI下腹腔鏡下手術システムの確立
課題番号
H16-トランス-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
橋爪 誠(九州大学大学院医学研究院災害・救急医学)
研究分担者(所属機関)
  • 掛地 吉弘(九州大学病院第二科)
  • 川中 博文(九州大学病院第二科)
  • 田上 和夫(九州大学病院先端医工学診療部)
  • 家入 里志(九州大学病院先端医工学診療部)
  • 村垣 善浩(東京女子医科大学大学院先端生命医科学研究所先端工学外科分野)
  • 中島 秀彰(九州大学大学院次世代低侵襲治療学)
  • 岡崎 賢(九州大学大学院次世代低侵襲治療学)
  • 小西 晃造(九州大学大学院次世代低侵襲治療学)
  • 村田 正治(九州大学大学院ナノバイオメディスン講座)
  • 洪 在成(九州大学大学院ナノバイオメディスン講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 基礎研究成果の臨床応用推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在のがん治療は、診断技術と治療技術の発展により、術前に得られた診断画像によって手術計画を立て、術中は光学的な内視鏡情報に基づいた腹腔鏡下手術が選択肢の一つとなっている。本研究は、術中MRIを併用した腹腔鏡下手術システムを確立することで、がん治療において蓄積されてきたMRI等を用いた知見や診断情報と術中情報の連携を可能とし、腫瘍部位明確化による切除範囲の限局といった低侵襲化の推進、安全性の一層の向上、がん患者のQOLのさらなる改善を実現することを目的とする。
研究方法
 本研究の目的を達成するため、術中MRI下腹腔鏡下手術システムの構築について以下の開発項目に取り組んだ。
・ MR対応内視鏡システムの開発
・ 術中腹部MR撮像の検討
・ 内視鏡外科手術支援ソフトの開発
・ MR画像情報の内視鏡重畳機能の開発
これらを統合したシステムよる術中MRI下腹腔鏡下術プロトコルを作成し、その有用性を動物実験により検討した。
結果と考察
MR対応内視鏡システムについては、滅菌・洗浄に対する動作保証、ならびに術中MRI下でのヒト安全性を確認した。本システムを用いたMR画像誘導下ラジオ波焼灼療法の手術マニュアルをまとめ、実験動物による臨床前試験を行い、本システムを利用することによる臨床有用性を確認した。術中MRIによるリンパ節造影の手法についても検討を行い、リンパ節郭清を術中MRI下に行うことで郭清率向上が期待される。今後は、臨床用の術中MRI外科治療設備を整えるとともに、作成した治療プロトコルについてMRガイド下腹腔鏡下手術の実用化に向けた有用性をさらに検討していく予定である。また、これらの研究で得られた成果は、別に開発を進めている新たな治療法やロボティクス手術支援技術と融合することにより、精密な画像誘導下低侵襲外科治療を実現することが可能であると考えている。術中MRI下腹腔鏡下手術システムはがん治療に有用なシステムであり、低侵襲外科治療の発展において重要な役割を担うと考える。
結論
術中MRI下腹腔鏡下手術システムは、内視鏡情報とMRI情報の併用により、がん治療の精度向上に寄与する。

公開日・更新日

公開日
2007-09-19
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200615004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
先端にCCDを搭載したMR対応内視鏡の実現は、差動伝送信号の利用によりMRIガントリ内での電子機器の使用が可能であることを示した。
臨床的観点からの成果
先端CCD式MR対応内視鏡は、腹腔鏡下手術での術中診断画像の利用を可能にし、手術の精度、安全性向上に寄与するものである。また、先端にCCDを配置することで狭いガントリ内でも視野を確保する、内視鏡先端のフレキシブル化にも対応できる可能性がある。
ガイドライン等の開発
医療機器評価指標ガイドライン・ナビゲーション医療分野(手術ロボット)(経済産業省委託事業『平成17年度戦略的技術開発委託費・医療機器ガイドライン策定事業』)において、MRIと内視鏡下手術の融合技術として参考された。
その他行政的観点からの成果
医療技術産業戦略コンソーシアム(METIS)第5回 医療テクノロジー推進会議(平成18年9月27日 経団連会館)において、MRI下での腹腔鏡下手術を実現する手術システムとして紹介された。
その他のインパクト
「体にやさしい未来治療」と題して市民公開講座を開催した(平成18年3月23日(木)13時00分-16時00分:九州大学医学部百年講堂)。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
市民公開講座を開催し、がん治療における本治療の有用性について広く知らしめた。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
T.Yasunaga, K.Konishi, S.Yamaguchi, et al.
MR-compatible laparoscope with a distally mounted CCD for MR iamge-guided surgery
Int J comput radiol surg , 2 (1) , 11-18  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-