文献情報
文献番号
200615002A
報告書区分
総括
研究課題名
WT1癌抗原ペプチドを用いた癌の免疫療法の開発
課題番号
H16-トランス-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
杉山 治夫(大阪大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 川瀬 一郎(大阪大学大学院医学系研究科)
- 野口 眞三郎(大阪大学大学院医学系研究科)
- 奥村 明之進(大阪大学大学院医学系研究科)
- 門田 守人(大阪大学大学院医学系研究科)
- 木村 正(大阪大学大学院医学系研究科)
- 奥山 明彦(大阪大学大学院医学系研究科)
- 吉川 秀樹(大阪大学大学院医学系研究科)
- 吉峰 俊樹(大阪大学大学院医学系研究科)
- 田野 保雄(大阪大学大学院医学系研究科)
- 久保 武(大阪大学大学院医学系研究科)
- 福澤 正洋(大阪大学大学院医学系研究科)
- 大薗 惠一(大阪大学大学院医学系研究科)
- 中村 仁信 (大阪大学大学院医学系研究科)
- 畑澤 順(大阪大学大学院医学系研究科)
- 上甲 剛(大阪大学大学院医学系研究科)
- 青笹 克之(大阪大学大学院医学系研究科)
- 片山 一朗(大阪大学大学院医学系研究科)
- 坂本 純一(名古屋大学大学院医学系研究科)
- 森田 智視(名古屋大学大学院医学系研究科)
- 藤岡 知昭(岩手医科大学)
- 一迫 玲(東北大学大学院医学系研究科)
- 高橋 益廣(新潟大学)
- 井上 正樹(金沢大学大学院医学系研究科)
- 本間 定(東京慈恵医科大学)
- 恵美 宣彦(藤田保健衛生大学)
- 木藤 克之(滋賀医科大学)
- 塚本 文音(大阪厚生年金病院)
- 増田 慎三(大阪医療センター)
- 三木 恒治(京都府立医科大学)
- 安川 正貴(愛媛大学医学部)
- 大西 丘倫(愛媛大学医学部)
- 宇高 恵子(高知大学医学部)
- 塚田 順一(産業医科大学)
- 内藤 誠二(九州大学大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 基礎研究成果の臨床応用推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
27,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
改変型WT1ペプチド(CYTWNQMNL)3.0 mg / body、毎週1回、計12回の投与の安全性(第I相)と有効性(第II相)を明らかにすること
研究方法
(1) WT1を発現している白血病及び固形癌
(2) HLA-A*2402
(3) 年齢16-80才
(4) PS 0-1
(5) 他に治療法がないか、本人が希望した
患者に対して改変型WT1ペプチドを Montanide ISA51アジュバントとともに3.0 mg / body、週1回、計12回、皮内注射した。
(2) HLA-A*2402
(3) 年齢16-80才
(4) PS 0-1
(5) 他に治療法がないか、本人が希望した
患者に対して改変型WT1ペプチドを Montanide ISA51アジュバントとともに3.0 mg / body、週1回、計12回、皮内注射した。
結果と考察
本臨床研究では、改変型WT1ペプチド(天然型よりも免疫誘導能が強い)を、3 mg / body、毎週1回、計12回投与し、安全性(第I相部分)と臨床効果(第II相部分)を評価した。現在までのところ計144名の癌患者にWT1ワクチンを投与し、副作用及び有効性を解析した。最初の10例の適格症例について、第I相部分の治療開始4週間以内の毒性について解析したところ、重篤な毒性は見られず、本プロトコールの安全性が確認され(JJOC、2006)、第I相臨床研究を終了し,個別の癌腫に対する有効性を評価する第II相臨床研究に移行し、現在に至っている。
癌種毎の臨床効果について、症例数が最多の悪性脳腫瘍について解析したところ、再発グリオブラストーマ19例中PR2例、SD9例(このうち2例はその後腫瘍が縮小)、PD8例(このうち3例はその後SD)であり、病勢コントロール率は57.9%であった。現在の治療のmodalityはまだ最適化されておらず、そのためWT1特異的免疫応答はまだまだ不十分で、CRが出なかったと考えられる。 その他の癌腫では、まだ症例数がたらず統計的解析はできない。
今後は、(1)より強力なアジュバントを使う (2)癌に対する免疫応答を抑制しているTregなどを除去する能力のある薬剤を併用する(3)HLAクラスII拘束性WT1ペプチド(すでに同定すみ)を併用するなどにより、WT1免疫能を高め、臨床効果を高めた新しいWT1免疫療法の臨床研究を同一プロトコールを用いた大規模な全国共同臨床研究として行ない、癌種毎の有用性を明確にしたい。
癌種毎の臨床効果について、症例数が最多の悪性脳腫瘍について解析したところ、再発グリオブラストーマ19例中PR2例、SD9例(このうち2例はその後腫瘍が縮小)、PD8例(このうち3例はその後SD)であり、病勢コントロール率は57.9%であった。現在の治療のmodalityはまだ最適化されておらず、そのためWT1特異的免疫応答はまだまだ不十分で、CRが出なかったと考えられる。 その他の癌腫では、まだ症例数がたらず統計的解析はできない。
今後は、(1)より強力なアジュバントを使う (2)癌に対する免疫応答を抑制しているTregなどを除去する能力のある薬剤を併用する(3)HLAクラスII拘束性WT1ペプチド(すでに同定すみ)を併用するなどにより、WT1免疫能を高め、臨床効果を高めた新しいWT1免疫療法の臨床研究を同一プロトコールを用いた大規模な全国共同臨床研究として行ない、癌種毎の有用性を明確にしたい。
結論
本治療法の安全性(第Ⅰ相臨床試験)は確認された。臨床的有効性については、進行癌に対する臨床効果としては、十分なものであると考えられた。特にグリオブラストーマに対する臨床効果が顕著であった。
公開日・更新日
公開日
2007-04-13
更新日
-