文献情報
文献番号
200615001A
報告書区分
総括
研究課題名
動脈硬化病変(再狭窄、不安定プラーク)に対する画期的血管内治療システムの創製―霊長類モデル作製から臨床応用まで―
課題番号
H16-トランス-一般-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
江頭 健輔(九州大学大学院医学研究院循環器内科学)
研究分担者(所属機関)
- 砂川 賢二(九州大学大学院医学研究院循環器内科学)
- 米満 吉和(千葉大学大学院医学研究院遺伝子治療学)
- 市来 俊弘(九州大学大学院医学研究院循環器内科学)
- 北嶋 隆((株)テルモ (財)神奈川科学技術アカデミー)
- 野見山弘章(川澄化学工業(株)研究開発部)
- 糀本 芳郎((有)プライメイト)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 基礎研究成果の臨床応用推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
28,689,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
冠インターベンション後再狭窄患者は国内だけで15万人以上、心筋梗塞の責任病変である不安定プラークを有する患者は100万人以上と推測される。したがって、この再狭窄・動脈硬化に対するJapanオリジナルの画期的次世代治療法の開発が急務である。炎症抑制や血管内皮再生を標的とした遺伝子・薬剤溶出ステントは、これら活性化動脈硬化病変の血管内治療用手段として有望である。本研究の目的は、我々独自の研究成果を踏まえて、再狭窄抑制・プラーク不安定化抑制をもたらす次世代の国産遺伝子・薬剤溶出ステントを創製し、臨床応用を目指して探索的臨床研究を実施することである。遺伝子・薬剤溶出ステント(とくに生体吸収性ステント)をドラッグデリバリーシステムとしてとらえ再狭窄・動脈硬化病変の血管内治療用デバイスを開発する。
研究方法
1)遺伝子・薬剤溶出型ステントの試作、
2)霊長類(サル)などでの有効性試験、
3)毒性・安全性試験、
4)臨床研究の準備と探索的臨床研究の実施(九州大学)。
2)霊長類(サル)などでの有効性試験、
3)毒性・安全性試験、
4)臨床研究の準備と探索的臨床研究の実施(九州大学)。
結果と考察
今年度は、NF-κBデコイ溶出ステントを作製することに成功し、その有効性試験と安全性試験を行った。NF-κBデコイ溶出ステントでは、対照ステントと比較してNF-κBの活性化が有意に抑制され、その結果、新生内膜形成が抑制された。また、霊長類においてNF-κBデコイ溶出ステントの安全性が示唆された。
倫理委員会の承認を得て、探索的臨床研究を実施し終了した。安定労作性狭心症患者を対象として、冠動脈狭窄病変をベアメタルステントで拡張に成功したあと、NF-κBデコイをドラッグデリバリーカテーテルを用いてステント部位にデリバリーした(18症例)。エンドポイントは投与から6か月間の心血管イベント、再狭窄と関連する副作用である。再狭窄(定量的計測で75%以上の狭窄)は18症例中1症例に観察された。NF-κBデコイに起因する重大な有害事象はなくその安全性が示唆された。
生体吸収性マグネシウム(Mg)を用いて生体吸収性ステントを開発している。
今年度は、試作品を作製し動物組織内に植え込み、生体吸収されることを確認した(特許出願予定)。また、ブタ冠動脈に植え込み安全性を検討する予定である。
ナノ粒子をステント(金属)表面に積極的にコーティングさせる方法としてカチオン性ナノ粒子をステント表面に電着コーティングする技術を確立した。本技術はステントコーティングの革新的次世代基盤技術になると考えられる。
倫理委員会の承認を得て、探索的臨床研究を実施し終了した。安定労作性狭心症患者を対象として、冠動脈狭窄病変をベアメタルステントで拡張に成功したあと、NF-κBデコイをドラッグデリバリーカテーテルを用いてステント部位にデリバリーした(18症例)。エンドポイントは投与から6か月間の心血管イベント、再狭窄と関連する副作用である。再狭窄(定量的計測で75%以上の狭窄)は18症例中1症例に観察された。NF-κBデコイに起因する重大な有害事象はなくその安全性が示唆された。
生体吸収性マグネシウム(Mg)を用いて生体吸収性ステントを開発している。
今年度は、試作品を作製し動物組織内に植え込み、生体吸収されることを確認した(特許出願予定)。また、ブタ冠動脈に植え込み安全性を検討する予定である。
ナノ粒子をステント(金属)表面に積極的にコーティングさせる方法としてカチオン性ナノ粒子をステント表面に電着コーティングする技術を確立した。本技術はステントコーティングの革新的次世代基盤技術になると考えられる。
結論
革新的次世代低侵襲血管ナノ医療の基盤となる技術を創製した。
公開日・更新日
公開日
2007-05-09
更新日
-