1施設1台:富山の常備薬型補助心臓の実用化

文献情報

文献番号
200611006A
報告書区分
総括
研究課題名
1施設1台:富山の常備薬型補助心臓の実用化
課題番号
H17-フィジ-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
梅津 光生(早稲田大学 理工学術院)
研究分担者(所属機関)
  • 岩崎 清隆(早稲田大学 フューチャーインスティチュート)
  • 夜久 均(京都府立医科大学)
  • 村山 雄一(慈恵会医科大学)
  • 白石 泰之(東北大学加齢医学研究所)
  • 田村 泰一(早稲田大学 アジア太平洋研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 身体機能解析・補助・代替機器開発研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
14,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は世界に類の無い超低価格補助人工心臓システムの開発を目指している.既存の補助人工心臓システムは重症心不全患者の救命に大いに貢献してきたが,短期間の心機能補助で回復が期待される症例に対しては高額であるためにその適用を躊躇してしまい,現実的に特定施設でしか使用できない.そこで我々はこのような急性患者や緊急症例に適応可能な1施設1台:富山の常備薬のような補助人工心臓システムの開発を目的としている.
研究方法
2005年度までの研究でIABP駆動装置を駆動装置として流量すると、駆動ピーク圧力の増大により溶血量が増大することが明らかとなった。そこで、本年度の研究では駆動ラインに圧力系の一時遅れユニットを組み込むことにより、溶血量を低減することを目的とする。また、感染症の低減を目的とした、生体と人工心臓を接続するカニューレの細径化に関する検討も行う。
結果と考察
一時遅れユニットを組み込む以前は、補助人工心臓駆動装置と比べIABP駆動装置を使用した場合は溶血量が1.5倍に増大していたが、ユニット組み込み後は97%と補助人工心臓駆動装置とほぼ同程度まで溶血量を低減することができた。臨床現場で使用されている駆動装置と同程度まで溶血量を低減できたことにより、IABP駆動装置を補助人工心臓駆動装置として流用できる可能性が示唆された。また、カニューレの細径化に関してもディフューザ部やノズル部のテーパ角を適切な角度に設定することにより、拍出性能を維持しながらも皮膚貫通部を10mmまで細径化することができた。これにより感染症のリスクを低減しうるカニューレ設計が実現した。
結論
多くの施設に普及している駆動装置の流用方法の検討とカニューレの細径化に関する検討が終了した。今後は生体に解剖学的にフィットするカニューレ形状の検討と、その制作方法の確立を行う。そして補助人工心臓システムの全構成要素が確立された後、システム全体としての耐久試験をこない、補助人工心臓システムの総括を行う。

公開日・更新日

公開日
2007-03-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-10-31
更新日
-