文献情報
文献番号
200612011A
報告書区分
総括
研究課題名
特異体質性薬物肝障害発症の機構解明と予測実験系の開発
課題番号
H17-トキシコ-一般-010
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
横井 毅(金沢大学大学院医学系研究科 薬学部兼任)
研究分担者(所属機関)
- 中島 美紀(金沢大学大学院医学系研究科 薬学部兼任)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 トキシコゲノミクス研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
19,425,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
薬物誘導性肝障害の予測試験において、種差を克服する試験系の開発研究およびヒト特異的に発症する薬物誘導性肝障害の機構解明について、以下の5つの相互に関連した研究課題について研究を推進した。1:γ-グルタミルシステイン合成酵素のノックダウンによる薬物誘導性肝障害試験系の構築、2:CYP3A4発現アデノウイルスを用いた細胞障害モデル、3:CYP3A4の代謝的活性化による細胞障害性に関する研究、4:肝障害による肝細胞変化が薬物排泄能におよぼす影響、5:マイクロRNAによるヒトCYP1B1の発現制御と毒性との関わり。
研究方法
γ-GCSおよびCYP3A4の発現ベクターの作成、および細胞への感染実験、ラットへの投与実験などは全て、常法に従って行った。その他、培養細胞およびラットを用いた実験を行った。詳細は統括・分担報告書を参照願いたい。
結果と考察
(1)アデノウイルスベクターを用いてshRNAにより、GSHの合成をノックダウンすることに成功し、特許出願を行った。今度、この系の評価を行う。(2)CYP3A4 により生じる活性代謝物の毒性が、細胞内グルタチオン含量の減少で増強される系を構築できた。今後、in vivo への応用を試みる予定である。(3)CYP3A4による代謝的活性化を検討するin vitro評価系の構築をした。薬物性肝障害のより正確な予測が可能と考えられる。(4)四塩化炭素誘導性肝障害ラットについて、薬の尿中および糞中排泄率は、血清中ASTおよびALT値に依存して変化することを明らかにした。(5)CYP1B1はmiR-27bによって転写後調節をされていることを見出した。マイクロRNAが薬物代謝酵素の転写後調節に大きな役割を果たしていることを始めて明らかにできた。今後は、薬物誘導性肝障害との関わりを明らかにする。
結論
反応性代謝物に基因する薬物誘導性肝障害を予測する試験系の構築研究については、当初の予定以上の成果があり、これらのin vitroおよびrat in vivoの系を用いて、評価研究を行い、医薬品開発の前臨床研究に寄与することが期待される。
公開日・更新日
公開日
2007-04-06
更新日
-