ES細胞由来神経細胞を用いた薬剤の神経毒性評価システムの開発と神経毒性関連遺伝子・タンパク質データーベース構築

文献情報

文献番号
200612005A
報告書区分
総括
研究課題名
ES細胞由来神経細胞を用いた薬剤の神経毒性評価システムの開発と神経毒性関連遺伝子・タンパク質データーベース構築
課題番号
H17-トキシコ-一般-004
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
金村 米博(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 臨床研究部政策医療基盤技術開発研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 角田 達彦(独立行政法人理化学研究所 遺伝子多型研究センター)
  • 和田 昭盛(神戸薬科大学 生命有機化学研究室)
  • 岡野 栄之(慶應義塾大学 医学部生理学教室)
  • 山崎 麻美(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
  • 入江 康至(大阪大学大学院医学系研究科 神経薬理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 トキシコゲノミクス研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
24,050,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難治性神経疾患に対する有効かつ安全な薬剤開発を効率化する支援技術として、ES細胞を用いた薬剤安全性の高感度評価システムの開発と毒性関連遺伝子・タンパク質データーベースの構築を目指す。
研究方法
1)安全性評価用基準神経系細胞の確立として、各種神経系細胞の分化誘導技術開発、細胞の生物学的特性評価、安全性試験用培養技術の開発を行う。
2)正常神経系細胞に対する薬剤毒性情報の取得・データーベース化として、1次スクリーニング(株化細胞)、2次スクリーニング(動物ES細胞由来正常神経系細胞)、3次スクリーニング(ヒトES細胞由来正常神経系細胞)の3段階で各種薬剤の毒性評価を行い、その情報をデーターベース化する。
3)正常神経系細胞に対する薬剤毒性に関連する遺伝子・タンパク質発現情報の包括的取得は、マイクロアレーと定量的PCR法、プロテインチップ法を用いて実施する。
4)薬剤毒性関連遺伝子・タンパク質情報のデーターベース化と、毒性関連遺伝子ネットワークの同定を行なう。
結果と考察
1次-3次スクリーニングに使用する細胞の選定、培養条件、分化誘導法、毒性スクリーニング試験プロトコール開発を終了し、種々の神経系細胞を使用したスクリーニングシステムを確立させるに至った。それを用いて、合計41種の既存薬剤および新規化合物の毒性スクリーニングを実施し、ヒトEC細胞であるNtera2とマウス神経幹細胞における注目される薬剤毒性の特徴を同定した。また、覚醒剤(メタンフェタミン)、レチノイン酸誘導体、向精神薬(thioridazine-HCl)、抗うつ薬(SSRI)の詳細な毒性評価を実施し、薬剤毒性に関連する遺伝子の同定を行った。マイクロアレイを用いた遺伝子発現情報取得と機能分類あるいはパスウェイ(遺伝子ネットワーク)の変動を捉えられるシステムの開発に成功し、具体的な毒性関連遺伝子群の同定に着手した。最終年度は、ヒトES細胞由来神経系細胞を用いて、複数の薬剤の毒性関連遺伝子のデーターベース構築し、その毒性関連遺伝子ネットワークを同定して行きたいと考える。
結論
種々の神経系細胞を使用した薬剤毒性スクリーニングシステムを確立させ、薬剤の細胞毒性情報の取得・データーベース構築を開始した。最終年度、最終目標のヒトES細胞由来神経系細胞を用いた解析を展開していく予定である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-06
更新日
-