重篤な皮膚有害事象の診断・治療と遺伝子マーカーに関する研究

文献情報

文献番号
200610053A
報告書区分
総括
研究課題名
重篤な皮膚有害事象の診断・治療と遺伝子マーカーに関する研究
課題番号
H18-ファーマコ-一般-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
鹿庭 なほ子(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 頭金正博(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
  • 黒瀬光一(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
  • 斎藤嘉朗(国立医薬品食品衛生研究所 機能生化学部)
  • 高橋幸利(国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター、臨床研究部・小児科)
  • 古谷博和(国立病院機構大牟田病院)
  • 松永佳世子(藤田保健衛生大学医学部皮膚科学教室)
  • 池澤善郎(横浜市立大学大学院医学研究科環境免疫病態皮膚科学教室)
  • 村松正明(東京医科歯科大学難治疾患研究所分子疫学講座)
  • 小菅治彦(練馬総合病院皮膚科)
  • 木下茂(京都府立医科大学視覚機能再生外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ファーマコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
12,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)及び中毒性表皮壊死(TEN)などの重症薬疹は、薬物による重篤な副作用のひとつである。SJS/TENは、発症率は低いが、80%以上の医薬品で発症することが指摘されており、年間300例以上の副作用報告がある。SJS/TENは重篤な場合には死に至り、また、眼や肺に重い後遺症が残ることがある。本研究では、SJS/TENの回避のための薬物治療の個別化及び患者のQOLの向上を目的に、ケース・コントロール研究により、日本人の患者を対象として、SJS/TENを発症しやすい体質や視力障害と関連する遺伝子マーカーを探索し、また、有用なマーカーを利用して重症薬疹を発症しやすい体質等の検出方法を検討することとした。
研究方法
眼障害のある日本人のSJS/TEN患者40人と健常人113名を対象にHLA解析を行った。また、現在までにSJS/TENと診断のついた新規登録された十数例の症例について、予備的にHLA領域の解析及びDNAマイクロアレイによる解析を行った。HLA解析は、PCR-SSO法、PCR-SSP法、又は、PCR-SBT法で行った。DNAマイクロアレイ解析には、GeneChip Human Mapping 250K Nsp Arrayを用いた。
結果と考察
研究の開始にあたり、症例集積システム構築や登録診断基準作成などの基盤整備を行った。症例集積システム等を通じて、2007.3.15までに、37例の新規症例登録が行われ、29例の採血が終了した。眼障害のあるSJS/TEN患者を対象とした解析では、HLAクラスIのうちA0206ならびにC0304がSJS発症のしやすさと関連し、A1101が発症のしにくさと関連する可能性が高いことが示唆された。新規登録症例については、これまでに日本人以外で重症薬疹の発症と関連すると報告されている遺伝子多型は、HLA-B*5801が1例検出されたのみであった。DNAマイクロアレイによる解析では、得られたデータの品質が研究の目的に照らし合わせて十分であることを確認した。
結論
構築した症例集積システム等を通じて、順調に症例が集積されている。眼障害SJS/TEN患者を対象とした解析及び新規症例を対象とした解析から、日本人における重症薬疹発症と関連する遺伝子マーカーは、日本人以外で報告されているものとは異なる可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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