ナノメディシン分野における難治性眼表面疾患による涙液障害に対する超微細画像技術(ナノレベルイメージング)を応用した涙液再生治療法の開発

文献情報

文献番号
200609050A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノメディシン分野における難治性眼表面疾患による涙液障害に対する超微細画像技術(ナノレベルイメージング)を応用した涙液再生治療法の開発
課題番号
H18-ナノ-若手-004
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
後藤 英樹(鶴見大学 歯学部眼科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 坪田 一男(慶應義塾大学 医学部眼科学教室)
  • 村戸 ドール(慶應義塾大学 医学部眼科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在日本のドライアイ患者数は全国で約2200万人といわれ、なかでもシェーグレン症候群・慢性スチーブンスジョンソン症候群に伴うドライアイは視覚障害を伴う難治性眼表面疾患であり、早急な治療法の確立が必要とされている。健常な涙液は油層・水層・ムチン層の三層構造をなしているといわれているが、一般化した構造測定方法がない。本研究では、これら既存の治療で治癒しない患者の治療の為、涙液油層薄膜・水層薄膜の評価及びその欠乏に対しての治療、すなわち健常な涙液構造の再生による難治性眼表面疾患の治療を目指す。本年度は主任研究者である後藤が総括を行うとともに涙液水層厚み定量システムの開発を、分担研究者である坪田が眼表面湿潤度定量システムの開発を、分担研究者であるムラトドールがTear scopeを用いた非侵襲的interference meniscometryの開発を、それぞれ担当した。これらの評価系をもって平成19年度以降、新規治療の開発、評価を行う計画である。
研究方法
健常人(nl群)10例20眼および涙液分泌低下型ドライアイ(DE群)10例18眼(シェーグレン症候群および眼類天疱瘡)を対象とした。工業用薄膜厚み測定装置(Quore 1100および1000, マミヤOP、さいたま)をカスタマイズして使用して涙液層厚み測定を行った。涙液層厚み(d)は干渉の原理から求められた 。また、同時に眼表面所見評価としてフルオレセイン角膜染色スコア、ローズベンガル角結膜染色スコア、涙液層破壊時間、シルマーテスト値を測定した。
結果と考察
涙液層厚みはDE群におい、nl群に比べて有意に薄かった。眼表面の評価は全項目(フルオレセイン角膜染色スコア、ローズベンガル角結膜染色スコア、涙液層破壊時間、シルマーテスト値)においてDE群でnl群と比べて有意に悪化していた。
結論
薄膜厚み測定装置を使用した涙液層厚みの測定が可能であり、角膜前面の涙液量の低下を非侵襲すなわち正確に評価できる手段であると思われた。ドライアイにおける涙液水層厚みは世界で始めて報告された。薄膜厚み測定装置にて計測した涙液層厚みは涙液分泌低下型ドライアイ患者において健常人と比べ有意に低値を呈した。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-10-31
更新日
-