脳低体温療法に用いる頭部冷却ヘルメットの開発

文献情報

文献番号
199700178A
報告書区分
総括
研究課題名
脳低体温療法に用いる頭部冷却ヘルメットの開発
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
藤里 俊哉(国立循環器病センター)
研究分担者(所属機関)
  • 辻隆之(国立循環器病センター)
  • 岩田博夫(京都大学生体医療工学研究センター)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
2,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
大動脈瘤手術時の逆行性脳潅流時や脳血管傷害時における全身低体温時の虚血脳保護のために、頭部全体を覆う頭部表面冷却用ヘルメットを開発した。すなわち、デザインや材料を検討し、脳温のモニタリングシステムを検討した。
研究方法
内側に断熱材を張った軽量で強靱なFRP(強化プラスチック)ヘルメット内側に蚊取り線香状に巻いたラテックスゴムチューブを張り付けた。ポリビニールアルコール(PVA)の円盤(厚み8mm)を作成し、それを頭皮とヘルメット間の間隙に充填し、ヘルメットの顎ひもをかけてチューブの出口に狭窄を作って冷水を循環させた。ヘルメットの頭部前額部に深部体温計プローブを装着して深部体温計で、または鼓膜体温計を用いて鼓膜温を測定できるようにした。そのヘルメットを健常成人に用い、チューブ内にレントゲン造影剤を注入し、頭部X線写真を撮影した。
結果と考察
冷水をヘルメット内のチューブに循環させると、チューブが膨満し密着の度合いが向上した。頭部X線写真でみるとチューブの頭部表面への密着が均一でなかったことから、平面的に展開して蚊取り線香状に巻いたチューブは弾力性があっても立体的に頭部に良好に密着せず、チューブデザインに工夫を要することがわかった。超低体温で脳温が室温(24℃)以下になると、深部体温計は原理的に使用できない。すなわち、頭部表面に接触したプローブ部分の皮膚が低温熱傷を起こす可能性があるので、ペルチエ素子で表面を冷却する特殊なプローブを開発する必要がある。鼓膜体温計はプローブ先端が外耳道に適切に固定できる必要があるが、ハンドル部分が長いので、固定が不安定であった。すなわち、プローブ部分と計測部本体とが分離でき、ヘルメットと一体化して使える必要性がある。前額深部温と鼓膜温はともに脳温に近い。いずれも頭部表面冷却ヘルメットと一体化した脳温モニタリングシステムの改良が必要である。
結論
脳温モニタリング下に本頭部表面冷却システムを運用すれば、大動脈瘤手術時の循環停止や脳血管障害時の虚血脳の保護に有用であろう。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)