抗体ライブラリを活用した疾患関連蛋白質可視化解析技術の研究

文献情報

文献番号
200609044A
報告書区分
総括
研究課題名
抗体ライブラリを活用した疾患関連蛋白質可視化解析技術の研究
課題番号
H18-ナノ-若手-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
角田 慎一(独立行政法人医薬基盤研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は疾患プロテオミクス技術、分子イメージング技術、ファージライブラリを用いたin vitro抗体作製技術を融合することにより、細胞内で機能できる疾患関連蛋白質に対する抗体を創出し、その蛍光標識体を用いた細胞内での疾患関連蛋白質の可視化、あるいは機能制御を可能とする技術を開発するものである。
研究方法
細胞内で機能しうる抗体を得るためには、まずイムノグロブリンL鎖およびH鎖をリンカーで繋いだ一本鎖化抗体scFv型が簡便に得られること、また、細胞内では適切にフォールディングせず、不溶化する抗体も多いことから、迅速に多種類の抗体クローンを得て、その中から有効に機能するクローンを見出すことが必要となる。従来のハイブリドーマ法による抗体作製では親和性クローンを得るだけでも長期を要し、さらにscFv化、可溶性クローンの探索まで行うには多大な時間と労力を必要とする。そこで本研究では、初年度において、イントラボディを創製する基盤としての高品質な一本鎖Fv抗体(scFv)のファージライブラリ構築と性能評価を目標として研究を実施した。
結果と考察
まず多様な抗原に対する抗体を取得可能となるように、生体が有する抗体遺伝子V領域を網羅的にカバーしうるPCRミックスプライマーを設計し、それにより非免疫マウスB細胞由来cDNAからVHおよびVL遺伝子を増幅回収した。これら遺伝子をリンカー配列でランダムに連結し、ファージミドベクターに挿入してscFvファージライブラリを構築した。得られたscFv抗体遺伝子のライブラリのサイズは2x10^9であり、生体の有する膨大な抗体レパートリーをカバーしうるライブラリが構築できたものと考えられた。そこで本ファージ抗体ライブラリの性能を確かめるため、複数のモデル抗原に対する抗体のスクリーニングを試みたところ、アフィニティパンニングによる結合性クローンの濃縮、およびその中から目的抗体クローンを得られることが確認できた。
結論
本年度はscFv型抗体の迅速単離法を確立した。本成果をもとに次年度以降、scFv抗体を細胞内で発現させ、抗体として機能するイントラボディを探索するとともに、機能解析や蛍光イメージングへの応用に向けた基礎評価を試みる予定である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-03
更新日
-