乳癌患者における抗体療法の効果・副作用規定因子の探索

文献情報

文献番号
200610034A
報告書区分
総括
研究課題名
乳癌患者における抗体療法の効果・副作用規定因子の探索
課題番号
H17-ファーマコ-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 康弘(国立がんセンター中央病院 第一領域外来部 通院治療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 清水 千佳子(国立がんセンター中央病院 第一領域外来部)
  • 西尾 和人(近畿大学医学部 ゲノム生物学教室)
  • 青儀 健二郎(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター)
  • 関 邦彦(国立がんセンター中央病院 臨床検査部)
  • 木下 貴之(国立がんセンター中央病院 第一領域外来部)
  • 関島 勝(株式会社三菱化学安全科学研究所 鹿島研究所先端技術研究部)
  • 井上 浩明(株式会社東洋紡ジーンアナリシス 敦賀ラボラトリー)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ファーマコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
35,640,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、乳癌治療のさらなる個別化による治療効果の向上、QOLの実現を目指し、トラスツズマブの効果・副作用規定因子の探索を行う。HER2陽性乳癌患者を対象とした臨床試験で得られる臨床検体(腫瘍組織検体、血液検体)を用いたバイオマーカー解析を実施、得られた情報と臨床効果、副作用との関連解析を行い、トラスツズマブに対する感受性、あるいは副作用を予測するためのシステムの構築を目指す。
研究方法
1.臨床検体の収集と臨床試験の実施:臨床試験を引き続き国立がんセンター中央病院および四国がんセンターにおいて実施し、症例を集積する。採取した臨床検体は一定の処理後保管し、調整の後、適時解析に供する。
2.臨床検体を用いた各種バイオマーカーの測定:以下の項目について測定を行っている。新規測定系は確立した。
(1)患者の抗体受容体部分 (FcγR) の遺伝子多型解析
(2)HER2遺伝子変異解析 
(3)フコシルトランスフェラーゼの遺伝子多型解析
(4)フコシダーゼおよびフコシルトランスフェラーゼの血清内活性測定
(5)腫瘍組織および末梢血単核球の遺伝子発現解析
(6)血清中のHER2蛋白質のリン酸化をはじめとする蛋白質の網羅的解析
3.バイオマーカー情報と臨床情報との関連解析
結果と考察
1.臨床検体の収集と臨床試験の実施:平成18年5月に、国立病院機構四国がんセンターにおいても本研究が倫理委員会で承認され、症例登録が開始された。平成19年3月6日時点で症例登録数は、術前化学療法例が34例(目標40例)、転移・再発例が15例(目標40例)である。採取した臨床検体は血清、血餅分離、RNA安定化処理など施行後いったん国立がんセンター計画治療病棟支援施設に保管し、適時解析に供している。
2.臨床検体を用いた各種バイオマーカーの測定:臨床検体を用いて上記(1)-(6)の解析を順調に施行している。(4)は平成18年度に確立した測定系で、フコシダーゼは基質を用いた発色により、フコシルトランスフェラーゼは蛍光基質をHPLCで検出する方法により、いずれも高精度で定量可能である。
3.バイオマーカー情報と臨床情報との関連解析:検体集積が終了した一部症例において臨床情報の収集を開始した。
結論
乳癌のトラスツズマブに対する感受性、副作用を予測するためのシステム構築を目指している。本年度は、症例の集積、新規解析手法の確立と臨床サンプルの測定を、当初の計画通り実行した。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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