インスリン分泌促進型経口糖尿病薬の薬物応答関連遺伝子の多型探索及びそのテーラーメイド投薬への応用

文献情報

文献番号
200610032A
報告書区分
総括
研究課題名
インスリン分泌促進型経口糖尿病薬の薬物応答関連遺伝子の多型探索及びそのテーラーメイド投薬への応用
課題番号
H17-ファーマコ-一般-004
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 嘉朗(国立医薬品食品衛生研究所 機能生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 安田 和基(国立国際医療センター 研究所 )
  • 埴岡 伸光(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 前川 京子(国立医薬品食品衛生研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ファーマコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
43,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
インスリン分泌促進型経口糖尿病薬、特にスルホニルウレア(SU)剤の薬効最適化とその持続を目指して、患者毎の遺伝子型に基づく投薬法(投薬量及び薬物選択法)を確立する。具体的には、血糖コントロールの不良や合併症の増加に関連する一次無効および二次無効発現リスク群の予測法を確立する。
研究方法
一次無効との相関解析用に、グリメピリド投与患者の臨床パネルを作成し、検体DNAにつき薬効・薬物動態関連分子群の多型をシーケンシングにて解析した。さらに推定したハプロタイプと薬効指標との相関解析を行った。また本解析のため、新規多型につき野生型及び変異型酵素をインビトロで発現し、活性変化を測定した。一方、二次無効との相関解析用に、SU剤二次無効群、早期無効群及び対照群に分けて臨床パネルを作成し、その臨床情報を解析すると共に、タイピングによる候補遺伝子多型解析及びDNAチップによる網羅的遺伝子多型解析を行った。また新規候補遺伝子探索のため、各種SU剤でラット膵β細胞株を長時間処理し、インスリン分泌量の測定及びDNAチップによる網羅的遺伝子発現解析を行った。
結果と考察
一次無効との相関解析では、134例につき薬効・薬物動態関連7遺伝子の多型同定・ハプロタイプ推定が終了した。薬効指標(HbA1c値の減少率)と有意に相関するハプロタイプを3種見いだした。さらに遺伝子型を説明変数として含む薬効予測モデルをほぼ確立した。また本解析に利用するため、CYP2C19の新規多型につき機能解析を行い、1種の活性低下を確認した。一方、二次無効との相関解析では、二次無効群83例、早期無効群16例、対照群290例、の臨床パネルを作成した。二次無効群では神経障害・網膜症の割合が高く、改めて二次無効の早期予測の必要性が示唆された。またインビトロでインスリン分泌障害モデルを確立し、二次無効発現と関連が示唆される遺伝子を複数見いだした。これらを追加した候補遺伝子解析では、15遺伝子の多型解析を行い、二次無効発現と有意に相関する多型を3種見いだした。ゲノム網羅的遺伝子多型解析も継続した。
結論
グリメピリドの薬効指標と相関するハプロタイプを3種見いだし、薬効予測モデルをほぼ確立した。また薬物代謝酵素活性を低下させる新規多型を見いだした。インスリン分泌障害モデルを確立し、新たな候補遺伝子を同定すると共に、二次無効発現と相関する遺伝子多型を3種見いだした。

公開日・更新日

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