文献情報
文献番号
200609025A
報告書区分
総括
研究課題名
がん新生血管を標的としたAll in oneデバイスによる革新的siRNAデリバリーシステムとがん治療法の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
H17-ナノ-若手-007
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
石田 竜弘(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
研究分担者(所属機関)
- 浅井 知浩(静岡県立大学 大学院薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
がん新生血管を構成する血管内皮細胞内にsiRNAを選択的に導入し、細胞の恒常性の維持に深く関与しているRISC(RNA-induced silencing complex)の発現を抑制させ、結果的に細胞死(アポトーシス)を誘導させることによりがん新生血管の破壊とそれに伴うがんの退縮を実現させうる革新的がん治療法の開発とそれを実現しうるデリバリーシステム(All in oneデバイス)の開発を実現させる。
研究方法
HUVECをモデルとし、RISC構成分子・Argonaute2(Ago2)のknockdownによる血管内皮細胞生存・血管類似構造体形成への影響について検討した。各キャリアのRNAi効果は、GFP安定発現HT-1080細胞株にGFP に対するsiRNAを導入して評価した。細胞内導入後のsiRNAおよびキャリアの動態は、蛍光(FAM)ラベルsiRNA、および蛍光(ローダミン)ラベル・キャリアを共焦点蛍光顕微鏡下で観察することにより評価した。キャリアの新生血管親和性は、dorsal air sac法により人為的にマウス背部皮下に新生血管を誘導させ、蛍光ラベル・キャリアの移行性を指標として検討した。
結果と考察
Ago2のknockdownによりHUVECにおいてもアポトーシスを介した細胞死が誘導されることを確認した。さらに、血管類似構造体の形成も阻害される事を確認した。また、siRNAデリバリーに適した新規siRNA-カチオニックリポソーム複合体形成法を見出し、この処方がマウス背部に誘導した新生血管へ高い移行性を示す事を確認した。さらに、細胞内動態解析の結果、siRNA-キャリア複合体の細胞膜への接着様式、エンドソーム・ライソゾームから細胞質へのsiRNAの放出過程が、RNAi効果の効率化をはかる上で律速段階である可能性を見いだした。前者に関しては、新規複合体形成法を用いる事で効率が改善されることを明らかにした。後者に関しては、ライソゾームからのsiRNAの放出性を高めるため、酵素依存的に切断されるペプチドスペーサーを含有したPEGリン脂質誘導体を調製してキャリアに組み込み改善をはかっている。
結論
Ago2のknockdownによる細胞死と新生血管への選択的デリバリーシステムを融合させる事により、革新的がん治療法の開発が実現できる可能性が示された。
公開日・更新日
公開日
2007-03-14
更新日
-