超音波を利用したsiRNA内包バブルリポソームのがん局所療法の臨床試験導入

文献情報

文献番号
200609019A
報告書区分
総括
研究課題名
超音波を利用したsiRNA内包バブルリポソームのがん局所療法の臨床試験導入
課題番号
H17-ナノ-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
松村 保広(国立がんセンター東病院臨床開発センターがん治療開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 小泉 史明(国立がんセンター研究所 化学療法部)
  • 丸山 一雄(帝京大学 薬学部)
  • 立花 克郎(福岡大学 医学部)
  • 古市 泰宏(ジーンケア研究所)
  • 小玉 哲也(東北大学大学院工学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
44,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全身治療おいて、十分な治療効果を発揮する核酸をデリバリー法は殆どない。そこで、がん局所投与において遺伝子核酸デリバリーを行うことで必要十分量の核酸を目的の部に送達することを考えた。
局所投与が生命予後の延長を含め、臨床的に意味のあるヒトがん種を選択し、そのモデル系を構築して評価することが重要であるとの考えに基づき、合致するモデルとして脳腫瘍への動注、膀胱腫瘍への膀胱注入モデルを設定し、評価系の構築を行った。局所遺伝子治療のツールとして、超音波発生プローブを試作し、 バブル崩壊に最適な超音波の特性を求め、 一方で 異なる膜組成からなる3種類のバブルを使用して, 分子導入の比較をおこなった。新規標的遺伝子に対するsiRNAを用いて抗がん活性評価も行った。
研究方法
1)膀胱腫瘍in vivoモデル系の構築
2) 脳腫瘍in vivoモデル系の構築:ラットへの脳腫瘍の移植、ルシフェラーゼに対するsiRNA-liposome複合体の頚動脈内注入
3)  超音波プローブとナノバブルのin vitroとin vivoの系での評価。
4)正常とがん組織間で遺伝子発現の比較を行い、がん特異的な遺伝子群を選抜し、siRNAによる細胞増殖抑制効果評価。
結果と考察
1)表在性膀胱がんモデルが100%の確率で成功した。
2)ルシフェラーゼsiRNAの動注を行い有意にルシフェラーゼ反応が低下した。
3) in vitroでは, ミセルバブルの導入効率が高く, in vivoではバブルリポゾームが高いことが示された。
4)KNTC2遺伝子に対するsiRNAは低濃度で細胞増殖を抑えた。作用機序としてM期での捕捉による細胞周期停止であることを見出した。
D. 考察 
ヒト脳腫瘍と膀胱がんに対する局所遺伝子治療モデル実験系を確立した。超音波・バブル条件設定において、in vitroではミセルバブル, in vivoではバブルリポソームが最適なヴェクターであることが分かった。In vivoではリポゾームバブルが外来分子の細胞内への取り込みに効果的に作用したものと考えられる。KNTC2に対するsiRNAによりがん細胞はカタストロフィーという細胞死により排除されると思われた。
結論
核酸デリバリー法および超音波・バブルリポソームの適応の条件が示された、KNTC2に対するsiRNAなどによる治療実験を開始する。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
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