メラノーマ標的ナノ微粒子(NPrCAP/ML)によるメラノーマ温熱免疫療法の開発

文献情報

文献番号
200609017A
報告書区分
総括
研究課題名
メラノーマ標的ナノ微粒子(NPrCAP/ML)によるメラノーマ温熱免疫療法の開発
課題番号
H17-ナノ-一般-004
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
神保 孝一(札幌医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
23,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
メラニン形成経路はメラノーマ細胞の癌化と共に異常に亢進する。本研究はメラニン形成酵素チロシナーゼの基質であるシステアミニール・フェノール(CAP)がメラノーマ細胞に選択的に接着し取り込まれ、直接細胞殺効果を有する事を利用し、CAPが温熱細胞殺効果を有するナノ磁気粒子(M)に固定化する事により新しい選択的ナノ・ドラッグ・デリバリー・システムを開発し、新規メラノーマ治療法を確立する。
研究方法
1. NPrCAP/MとNPrCAP/PEG/Mの合成:CAPをマグネトリポソームに固定する。マグネタイトは10nm大のナノ微粒子を用い、合成後の薬剤の粒子径とNPrCAPの固定化、坑腫瘍活性を測定する。
2. NPrCAP/Mのメラノーマ組織への選択的取り込みの解析: ①in vivo B16メラノーマ担癌マウスを用い、メラノーマへの選択的取り込みをMRIで確認する。この際腫瘍内への直接の注射、経皮投与と軟膏基材の有用性も検討する。
3. 温熱加温とNPrCAP薬剤の in vitro併用効果の解明:NPrCAP/Mの温熱加温効果の温度依存性(43-46度)とNPrCAP濃度依存性の有無、相乗・相加効果を検討する。
4. NPrCAP/Mの in vivo B16メラノーマ担癌マウスの延命効果の検討:交番磁場を照射する事による担癌マウスへの延命効果のみならず、皮下転移巣、肺転移巣への坑腫瘍効果の判定を行う。
結果と考察
以下の5点の研究成果が得られた。
1. NPrCAP/M及びNPrCAP・PEG/Mの合成及びチロシナーゼ基質としての反応性を確認した。
2. NPrCAP/PEG/Mの細胞下ターゲッテイングの解析した。
3. CTI療法におけるメラノーマ細胞特異的免疫の誘導を確認した。
4. 磁場発生装置の安全性を確立した。
5. 薬剤投与と腫瘍切除手術等の臨床研究プロトコールの作製した。
これらの結果をもとに臨床研究試験実施を申請し、倫理委員会の認可を得た。
結論
我々は過去2年間の研究でメラノーマに特異的に取り込まれるDDS(NPrCAP)を開発し、これとマグネタイトを結合させ、新規化合物NPrCAP/Mを合成した。本治療法によりメラノーマ細胞に特異的に取り込まれたNPrCAP/Mに対し磁場照射による温熱療法を行い、メラノーマ細胞に対し選択的細胞殺効果(化学療法)と温熱腫瘍免疫効果を発現させることが出来た。

公開日・更新日

公開日
2007-04-06
更新日
-