免疫疾患診断用プロテイン・チップの開発

文献情報

文献番号
200609015A
報告書区分
総括
研究課題名
免疫疾患診断用プロテイン・チップの開発
課題番号
H17-ナノ-一般-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 嘉浩(独立行政法人理化学研究所伊藤ナノ医工学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 上阪 等(独立行政法人理化学研究所免疫・アレルギー総合研究センター)
  • 諏訪 昭(東海大学医学部)
  • 北嶋 隆(財団法人神奈川科学技術アカデミー再生医療バイオリアクタープロジェクト)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
35,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 自己免疫疾患では、自己細胞成分に対する種々の自己抗体が血清中に産生されることを基本的特徴とするが、これらの自己抗体は特定の臨床像と密接に関連し、疾患の診断や病型分類、治療効果判定、生命予後推定など臨床的に極めて重要である。しかしながら、現在の抗体測定法は、個々の自己抗原を単独で測定するものであるため、多数の抗体の解析に適さず、かつ旧来のELISA法に基づく方法であるため測定できる抗原の種類も限られていた。
 そこで、本研究では、申請者らが開発した抗原マイクロアレイを応用し、数千におよぶ細胞内外の分子に対する自己抗体およびこれら分子発現や相互作用を自己免疫疾患患者において解析する。
研究方法
 前年度に引き続き、抗体検査を、より微量なサンプル量で、より迅速に、より多くの種類について検討できるようにプロテイン・チップによる検出システムの開発を目指して研究を行った。既知の自己抗原8種類をポリスチレン・チップ上に光固定化法した。そして、光固定化法と物理吸着の比較、従来用いられてきたELISA法との比較を行った。
 評価には、慶應義塾大学病院よりインフォームドコンセントをへて取得された患者血清を使用した。測定が自動的に行える装置の開発を行った。試料を装填すると、自動的に試料血清を送液し、チップと接触させ、その後洗浄し、最終的に発光基質を加えて化学発光を測定できる装置を開発した。
 
結果と考察
 新たに開発した方法で作成した自己免疫疾患診断プロテイン・チップ法と、従来法であるELISA法との相関性を合計8種類の自己抗原を用いて調べると、0.9前後の高い相関係数が得られることがわかった。リウマチ因子に関してはIgMを測定する必要があるが、これもIgG同様測定できることがわかった。さらに、本研究で開発したプロテイン・チップを装填し、血清の入った試験管を装填するだけで自動的に検査結果を表示できる自動化装置で、実際にヒト血清を用いて実験を行い、動作することを明らかにした。自動化装置では、試料導入、洗浄を繰り返し行うことが必要となるが、検討を進め、1検体当たりの測定時間を30分程度にできることを明らかにした。最後に、作成したプロテイン・チップの保存安定性を調べたところ、3ヶ月たっても性能に殆ど劣化がなく、安定性が高いことなどを明らかになった。
結論
これまでのところ、8種類の自己抗原をマイクロアレイした保存安定性の高いプロテイン・チップを作製することができ、自動測定によって患者血清を用いて測定できるようになった。

公開日・更新日

公開日
2007-10-03
更新日
-