半導体などナノ粒子によるDDS

文献情報

文献番号
200609004A
報告書区分
総括
研究課題名
半導体などナノ粒子によるDDS
課題番号
H14-ナノ-指定-004
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山本 健二(国立国際医療センター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 湯尾  明(国立国際医療センター 研究所 )
  • 名取 泰博(国立国際医療センター 研究所 )
  • 土肥多惠子(国立国際医療センター 研究所 )
  • 鈴木 和男(国立感染症研究所)
  • 近藤 昭彦(神戸大学工学部応用化学科)
  • 太田 敏博(東京薬科大学)
  • 落谷 孝広(国立がんセンター研究所)
  • 斯波真理子(国立循環器病センター研究所)
  • 片岡 一則(東京大学大学院工学系研究科)
  • 山本  悟(横浜栄共済病院 眼科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
81,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
半導体、アテロコラーゲン、ブロック共重合体などナノ粒子を用い薬剤伝達システムの開発を行うことを目的としている。また半導体ナノ粒子の量子サイズ効果による強力な蛍光を利用した医療応用を目的として開発研究することを目的としている。特に、本年は研究の本研究の最終年度に当たるので、基礎研究の成果から、臨床研究に役立つ開発研究を行うことを目的とした。
研究方法
半導体ナノ粒子においては1)安全性の検討を行い、2)細胞内小器官への伝達法を開発した。また、3)半導体ナノ粒子に医薬品を結合し薬効を観察し蛍光を利用して動態解析を行なった。さらに医療応用として高齢者に多い硝子体変性の診断・治療法を開発し、動物実験での有効性を示した。また5)ナノ粒子を利用してマクロファージを染色しその動態をを観察することにより術後癒着の原因解明と治療法を開発した。、6)ブロックポリマーを用いて有効な遺伝子治療法を開発し、動物実験を行った。7)がん治療に役立つiRNAを破壊せずに患部に届けられるシステムを開発した。
結果と考察
 本研究では、医療応用できるナノ粒子を製造するためには、その毒性について検討し表面加工法とプロセスが重要であることを明らかにした。その結果を利用しDDSの薬物担体として利用可能な安全なナノ粒子を製造し、核、ミトコンドリアなど細胞小器官への伝達に成功した。さらにこの技術を利用し、降圧剤を半導体ナノ粒子に結合させ、高血圧モデルラットに投与し、その薬効を確認し、血中半減期ならびに臓器別薬剤局在性を経時的に観察することに成功した。
 また、安全な半導体ナノ粒子を用い高齢者に多い硝子体変性の診断・治療法を開発した。高齢の豚眼を用い従来検査が困難であった変性を簡易に正確に診断・治療することを可能とした。その他ブロックポリマーによる遺伝子治療も動物実験で良い結果を得ることができた。アテロコラーゲンを利用した、iRNA療法が前立腺がん治療に大変有効であることが判明した。
結論
半導体ナノ粒子は、追跡可能な薬剤伝達担体として非常に有効であることが示された。また細胞染色による体内動態解析、硝子体染色など医療応用が可能であることが示された。さらにブロックポリマーによる遺伝子治療も動物実験で良い結果を得ることができた。アテロコラーゲンを利用した、iRNA療法が前立腺がん治療に大変有効であることが判明した。

公開日・更新日

公開日
2007-05-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200609004B
報告書区分
総合
研究課題名
半導体などナノ粒子によるDDS
課題番号
H14-ナノ-指定-004
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山本 健二(国立国際医療センター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 湯尾  明(国立国際医療センター 研究所 )
  • 切替 照雄(国立国際医療センター 研究所 )
  • 名取 泰博(国立国際医療センター 研究所 )
  • 土肥多恵子(国立国際医療センター 研究所 )
  • 鈴木 和男(国立感染症研究所)
  • 近藤 昭彦(神戸大学工学部応用化学科)
  • 太田 敏博(東京薬科大学)
  • 山本  悟(横浜栄共済病院 眼科)
  • 落谷 孝広(国立がんセンター研究所)
  • 斯波真理子(国立循環器病センター研究所)
  • 片岡 一則(東京大学大学院工学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
半導体、アテロコラーゲン、ブロック共重合体などナノ粒子を用い薬剤伝達システムの開発を行うことを目的としている。また半導体ナノ粒子の量子サイズ効果による強力な蛍光を利用した医療応用を目的として開発研究することを目的としている。またそれに伴い、半導体などナノ粒子の安全性を検討し、蛍光プローブとしての生物・医療応用を展開することを目的とする。
研究方法
本研究では、医療応用できるナノ粒子を製造するためには、その毒性について検討し表面加工法とプロセスが重要であることを明らかにした。その結果を利用しDDSの薬物担体として利用可能な安全なナノ粒子を製造し、核、ミトコンドリアなど細胞小器官への伝達に成功した。さらにこの技術を利用し、降圧剤を半導体ナノ粒子に結合させ、高血圧モデルラットに投与し、その薬効を確認し、血中半減期ならびに臓器別薬剤局在性を経時的に観察することに成功した。
 また、安全な半導体ナノ粒子を用い高齢者に多い硝子体変性の診断・治療法を開発した。高齢の豚眼を用い従来検査が困難であった変性を簡易に正確に診断・治療することを可能とした。その他ブロックポリマーによる遺伝子治療も動物実験で良い結果を得ることができた。アテロコラーゲンを利用した、iRNA療法が前立腺がん治療に大変有効であることが判明した。

結果と考察
半導体ナノ粒子(QD)の医療応用を目的として、1)安全性の検討を行い、2)細胞内小器官への伝達法を開発した。また、3)QDマーカー医薬品の開発、薬効・動態解析に成功し、同QDを用いて、4)高齢者に多い硝子体変性の診断・治療法を開発し、動物実験で有効性も示した。5)ナノ粒子を利用して術後癒着の原因解明と治療法を開発し、6)ブロックポリマーを用いて有効な遺伝子治療法を開発し、動物実験を行った。7)がん治療に役立つiRNAを破壊されずに患部に届けられるシステムを開発した。
主要英文論文375編、関連特許33、日経新聞報道4が成果として挙げられる。今後臨床現場に利用されるための開発研究、臨床研究が必要となる。

結論
半導体ナノ粒子、ブロックポリマー、アテロコラーゲンらの薬剤担体を用いた薬剤伝達システムに関わる本研究は、それぞれ高血圧治療、遺伝子治療、がん治療の動物実験において十分な成果を収めた。また安全性についての検討も十分に行われた。今後の臨床応用が期待される。

公開日・更新日

公開日
2007-05-24
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200609004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
副作用の軽減、治療効果の向上、疾病治療にあたってQOLの向上を実現するため、半導体などナノ粒子を用いて薬剤や遺伝子の伝達システムを開発することを目的とする。
臨床的観点からの成果
半導体ナノ粒子による生物医療応用において、腹腔マクロファージ染色による研究は、手術後癒着についての治療および予防法を開発する可能となり、硝子体染色による研究は、高齢者の失明の原因となる網膜はく離前の検査が可能となった。またブロックポリマーによる遺伝子治療は、動物実験で大きな結果を得、ヒトへの臨床が間近い。さらにiRNAを使ったアテロコラーゲンによる、安全で非常に効果的な、がん治療は、前立腺がんや乳がん治療に大きな期待が寄せられている。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
5年間の研究において直接関わる研究論文において主要な英文論文は、375編であった。またこの研究に関連する特許数は33件。日経新聞報など新聞報道は4件であった。また主要国際会議開催は、Photonics West/ BIOSにおいて2007年、2006年、2005年の3年の間、Quantum Dotsの生物・医療応用について主催した。また神戸大学において量子ドットの公開シンポジウムを2007年、2006年の2年の間、2回行った。

発表件数

原著論文(和文)
13件
原著論文(英文等)
345件
その他論文(和文)
14件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
79件
学会発表(国際学会等)
39件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計29件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
5件
財団法人 医療機器センター 「研究成果等国民啓発事業」

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Hoshino A, Manabe N, Yamamoto K. et al.
Use of fluorescent quantum dot bioconjugates for cellular imaging of immune cells, cell organelle labeling, and nanomedicine ~surface modifi cation regulates biological function, including cytotoxicity~
The Journal of Artificial Organs. , 10 (2)  (2007)
原著論文2
Hoshino A, Yamamoto K, Suzuki K. et al.
Trafficking of QD-conjugated MPO-ANCA in Murine Systemic Vasculitis and Glomerulonephritis model mice.
Microbiol Immunol. , 51 (5)  (2007)
原著論文3
Futamura Y, Yahara K, Yamamoto K.
Evidence for the production of fluorescent pyradine delivertives using supercritical water.
The Journal of Supercritical Fluids , 41 (2) , 279-284  (2007)
原著論文4
Hoshino A, Kawamura YI, Yamamoto K, Dohi T. et al.
Inhibition of CCL1-CCR8 Interaction Prevents Aggregation of Macrophages and Development of Peritoneal Adhesions.
The Journal of Immunology , 178 (8) , 1296-1304  (2007)
原著論文5
Yamamoto S, Manabe N, Hoshino A, Yamamoto K. et al.
Visualizing Vitreous using Quantum Dots as Imaging Agents.
IEEE Transactions on NanoBioscience , 6 (1) , 94-98  (2007)
原著論文6
Manabe N, Hoshino A, Goto T, Yamamoto K. et al.
Quantum dot conjugated with medicine as the drug tracer in vitro and in vivo.
IEEE Transactions on NanoBioscience , 5 (4) , 263-267  (2006)
原著論文7
Dawson W, Futamura Y, Yamamoto K. et al.
A method for finding optimal RNA secondary structures using a new entropy model (vsfold).
Nucleosides, Nucleotides & Nucleic Acids , 25 (2) , 171-189  (2006)
原著論文8
Shiohara A, Manabe N, Yamamoto K.
Novel Surface Processing with Sulfonic Acid for Quantum Dot and Its Characteristics.
Novel Surface Processing with Sulfonic Acid for Journal of Chemical Engineering of Japan , 39 (1) , 52-56  (2006)
原著論文9
Futamura Y, Yamamoto K.
Hydrothermal Synthesis of Olygoglysis with Adiabatic Expansion Cooling.
Viva Origino , 33 (4) , 269-274  (2005)
原著論文10
Warner JH, Yamamoto K.,Tilley RD. et al
Water-Soluble Photoluminescent Silicon Quantum Dots.
Angew Chem Int Ed Engl. , 44 (29) , 4550-4554  (2005)
原著論文11
Hoshino A, Fujioka K, Yamamoto K. et al.
Simultaneous Multicolor Detection System of the Single-Molecular Microbial Antigen with Total Internal Reflection Fluorescence Microscopy.
Microbiol Immunol , 49 (5) , 461-470  (2005)
原著論文12
Goto T, Futamura Y, Yamamoto K. et al
Condensation Reactions of Amino Acids under Hydrothermal Conditions with Adiabatic Expansion Cooling.
Journal of Chemical Engineering of Japan , 38 (4) , 295-299  (2005)
原著論文13
Yamamoto K.
The hospital with more beds has a higher probability of experiencing an outbreak of the hospital infection.
Jpn J Infect Dis , 58 (18)  (2005)
原著論文14
Yamamoto K.
Nanotechnology and Trends in Drug Delivery Systems with Self-Assembled Carriers.
Biomedical Nanotechnology , 29-40  (2005)
原著論文15
Hoshino A, Fujioka K, Yamamoto K. et al.
Quantum dots targeted to the assigned organelle in living cells.
Microbiol Immunol , 48 (12) , 985-994  (2004)
原著論文16
Hoshino A, Fujioka K, Yamamoto K. et al.
Physicochemical Properties and Cellular Toxicity of Nanocrystal Quantum Dots Depend on their Surface Modification.
Nano Letters , 4 (10) , 2163-2169  (2004)
原著論文17
Shiohara A, Hoshino A, Yamamoto K. et al.
On the cyto-toxicity caused by quantum dots.
Microbiol Immunol , 48 (9) , 669-675  (2004)
原著論文18
Hanaki K, Yamamoto K, Yoshikura H. et al.
Oligo(dA-dT)-dependent signal amplification for the detection of proteins in cells.
Biotechniques  (2004)
原著論文19
Hoshino A, Hanaki K, K, Ymamoto K. et al.
Applications of T-lymphoma labeled with fluorescent quantum dots to cell tracing markers in mouse body.
Biochem Biophys Res Commun. , 314 , 46-53  (2004)
原著論文20
Omata K, Futamura Y, Yamamoto K.
Supercritical Fluids Studied by Monte Carlo Simulations
Advances in Science and Technology, Computational Modeling and Simulation of Materials III - Part A , 42 , 413-420  (2004)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-