肉腫および悪性中皮腫を標的破壊する腫瘍溶解性ウイルスベクターのシードストックおよび臨床ロットの製造とその安全性・有効性評価に関する研究

文献情報

文献番号
200607072A
報告書区分
総括
研究課題名
肉腫および悪性中皮腫を標的破壊する腫瘍溶解性ウイルスベクターのシードストックおよび臨床ロットの製造とその安全性・有効性評価に関する研究
課題番号
H18-遺伝子-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 克仁(大阪府立成人病センター 研究所病態生理学)
研究分担者(所属機関)
  • 山村 倫子(大阪府立成人病センター 研究所病態生理学)
  • 川口 寧(東京大学医科学研究所 感染症国際研究センター感染制御部門)
  • 城野 洋一郎(化学及血清療法研究所 第2研究部)
  • 菅原 敬信(化学及血清療法研究所 試作研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
18,788,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平滑筋肉腫など難治性肉腫と悪性中皮腫に対する腫瘍溶解性単純ヘルペスウイルスを用いた標的遺伝子療法の速やかかつ適切な実用化・臨床応用を目指し、1)ウイルスベクター製造用のバンキングされたVero細胞デザイナーセルを用いたd12.CALPΔRRの製造法を確立すること、2)悪性中皮腫に対するin vivoでの効力試験の評価実験系を確立すること、3)マスターウイルスシードストックとワーキングウイルスシードストックをGMP基準を考慮した施設・設備の下で構築すること、4)ウイルスストックの生物学的評価試験、安全性試験を経て、臨床試験に使用可能なバルク標品を製造することである。研究期間は3年で、平成18年度に1)、2)を実施し、平成19年度に3)及び可能であれば4)の一部を、最終年度に4)を実施する計画である。
研究方法
本年度は、上記1)に関して、ICP4遺伝子を発現するVero細胞デザイナーセルバンクから無血清培地を用いてd12.CALPΔRRのラージスケール精製の条件検討を行った。2)に関し、ヒト腹膜悪性中皮腫培養細胞にルシフェラーゼ標識遺伝子を導入し、SCIDマウスの腹腔内に移植した。
結果と考察
1)d12.CALPΔRR感染後27-48時間の無血清培地培養上清から感染性ウイルス粒子を回収、濃縮し、最大のウイルス力価が得られる条件を決定した。続いて、Vero細胞デザイナーセルマスターセルバンクからd12.CALPΔRRを回収するため、ウイルス株のゲノムDNAを精製し、安定に増幅させるためクローニングを進めた。
2)ヒト腹膜由来悪性中皮腫培養細胞にルシフェラーゼ標識遺伝子を導入し、SCIDマウス腹腔内に移植するオルソトピックなマウス実験モデルを確立した。この実験系は国際的にも貴重なもので、体腔内で増殖することを特徴とするため、これまでin vivoで実際の臨床に近い治療薬評価系が確立していなかった悪性中皮腫に極めて有用な評価系を提供することになると思われる。
結論
Veroデザイナーセルバンクから無血清条件下でのd12.CALPΔRRラージスケール精製の基礎条件を検討した。ヒト腹膜悪性中皮腫をSCIDマウス腹腔内に移植し、中皮腫細胞に遺伝子導入したルシフェラーゼの活性により、体外から腫瘍の大きさと位置、治療効果を評価可能なオルソトピックな実験モデルを確立した。

公開日・更新日

公開日
2007-05-24
更新日
-