ゲノム創薬およびゲノム医療技術の開発・臨床応用に資する画期的な霊長類研究リソースの開発研究

文献情報

文献番号
200607068A
報告書区分
総括
研究課題名
ゲノム創薬およびゲノム医療技術の開発・臨床応用に資する画期的な霊長類研究リソースの開発研究
課題番号
H18-ゲノム-指定-004
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
寺尾 恵治(独立行政法人医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 吉田 高志(独立行政法人医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター )
  • 山海 直(独立行政法人医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター )
  • 明里 宏文(独立行政法人医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター )
  • 揚山 直英(独立行政法人医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター )
  • 木村 展之(独立行政法人医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター )
  • 数藤 由美子(日本赤十字中央研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
次世代のゲノム創薬やゲノム医療技術で標的とされ厚生労働行政上重要な疾患として、痴呆症、循環器疾患、骨粗鬆症と、世界的に重要な感染症としてC型肝炎を取り上げ、新規な治療法、予防法開発に有用な画期的な霊長類の疾患モデルの開発を目的とした。
研究方法
主として独立行政法人医薬基盤研究所・霊長類医科学研究センターで維持されている繁殖育成群のカニクイザルを用いて実験を行った。C型肝炎モデルでは、新世界ザルのタマリンを、痴呆症モデル開発ではヒト由来神経系培養細胞株(SH-SY5Y)を用いて解析を行った。循環器疾患の確定診断は、筑波霊長類センターで定期的に実施している定期健康診断時に集中的に行った。
結果と考察
C型肝炎ウイルス(HCV)に近縁なGBV-Bウイルスをタマリンに感染させることにより、再現性のある感染モデルを確立した。ヒト疾患に極めて類似した心不全病態を呈する拡張型心筋症をはじめとするカニクイザルの循環器疾患モデルを診断・抽出することに成功した。軸索輸送に関与するタンパク質(dynein)の機能が加齢と共に低下することをin vitro実験で確認した。カニクイザルを用いて閉経後の骨量変化を測定し、30歳以上の個体で閉経後骨粗鬆症に類似する骨量減少を認めた。カニクイザルの新規なES細胞の樹立に成功した。BACライブラリーから46のクローンを抽出し、FISHによる染色体マッピングをおこなった。
結論
本研究で整備・開発対象とした霊長類疾患モデルは、特定の研究領域(C型肝炎、循環器疾患、認知症、骨粗鬆症)に特化したものであるが、ヒトとの類似性から霊長類モデルが待望されていることから、今後の利用が期待される。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200607068C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ヒトゲノム解析の成果を基にした、新規治療薬および医療技術の有効性と安全性を評価するモデルとして、ヒト疾患に類似したC型肝炎、循環器疾患、認知症、骨粗鬆症などの霊長類疾患モデルの開発を試み、有用な自然発症及び実験誘発モデルを開発した。
臨床的観点からの成果
今回開発した霊長類疾患モデルを用いたトランスレーショナル・リサーチを積極的に展開し、新規の医薬品および医療技術の臨床応用を促進する必要がある。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
カニクイザルのES細胞および各種遺伝子リソースが整備されたことで、カニクイザルをモデルとした医薬品及び医療技術開発を細胞レベルおよび分子レベルで推進することが可能となった。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
13件
その他論文(和文)
7件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
48件
学会発表(国際学会等)
6件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Kikuchi T, Hara M, Terao K
Development of microsatellite marker set applicable to genome-wide screening in cynomolgus monkeys (Macaca facicularis)
Primates, , 48 , 140-146  (2007)
原著論文2
Nomiyama H, Otsuka-Ono K, Miura R, et al
Identification of a Novel CXCL1-Like Chemokine Gene in Macaques and its Inactivation in Hominids.
. Journal of Interferon & Cytokine Research , 27 , 32-37  (2007)
原著論文3
Asano T, Sasaki K, Kitano Y, et al
In vivo tumor formation from primate embryonic stem cells.
Methods Mol Biol. , 329 , 459-467  (2006)
原著論文4
Shibata H, Ageyama N, Tanaka Y, et al.
Improved safety of hematopoietic transplantation with monkey ES cells in the allogeneic setting.
Stem Cells , 24 , 1450-1457  (2006)
原著論文5
Kimura N, Takahashi M, Tashiro T, et al
Amyloid β up-regulates brain-derived neurotrophic factor production from astrocytes: rescue from amyloid β-related neuritic degeneration.
J Neurosci Res , 84 , 782-789  (2006)
原著論文6
Ageyama N, Hanazono Y, Shibata H, et al
Prevention of Immune Responses to Human Erythropoietin in Cynomolgus Monkeys (Macaca fascicularis).
J Vet Med Sci , 68 , 507-510  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-