非ヒト霊長類標準遺伝子cDNAクローンの収集とヒト疾病研究への利用

文献情報

文献番号
200607067A
報告書区分
総括
研究課題名
非ヒト霊長類標準遺伝子cDNAクローンの収集とヒト疾病研究への利用
課題番号
H18-ゲノム-指定-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
楠田 潤(医薬基盤研究所生物資源部遺伝子資源研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 一朗(医薬基盤研究所 生物資源部 遺伝子資源研究室)
  • 菅野 純夫(東京大学 新領域創成科学研究科)
  • 平井 百樹(東京女子医科大学 国際統合医科学インスティチュート)
  • 鳥居 隆三(滋賀医科大学 動物生命科学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
60,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒト疾患の原因遺伝子に相補的な遺伝子をカニクイザルおよびチンパンジーよりクローン化、収集して、相互に比較することで疾患の起源や発症機構の解明に役立てると同時に治療方法の開発や疾病予防への応用をはかる。
研究方法
コントロールとなるヒト疾患遺伝子クローンは東大菅野研が保有する完全長cDNAクローンコレクションから選別収集する。カニクイザルおよびチンパンジーの疾患遺伝子ホモログクローンはオリゴキャップ法とV-キャップ法を併用し、作製して配列決定し、3者を相互に比較する。
結果と考察
カニクイザル完全長cDNAクローン20,000個を作製追加し、総数86,000クローンからなる世界水準のcDNAコレクションを完成した。チンパンジーについても15,451cDNAクローンの収集が完了した。カニクイザルcDNAの中には1858個のヒト疾患遺伝子に対応するももの314遺伝子あり、比較解析したところ、種間変異とヒトで発症に関係する変異が一致するものが19遺伝子で検出された。すなわちヒトでは病気になるような変異をサルも持つが、食性や環境の違いでサルは症状が出ないことが予想された。収集したcDNAをマイクロアレー化したので、カニクイザルを用いた疾患モデル実験や毒性試験への応用を試みたい。
結論
コントロールとなるヒト疾患遺伝子1,200種のcDNAクローンを収集した。またカニクイザルcDNAクローンを作製追加し、総数86,000クローンを収集した。チンパンジーについても15,451cDNAクローンの収集が完了した。これらを相互に比較し、疾患の起源や発症機構の解明について検討した。

公開日・更新日

公開日
2007-07-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200607067C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本年度カニクイザルの腎臓および肝臓より各10,000個の完全長cDNAクローンを作製し、それらの配列を解読し,通算約86,000クローンからなる世界最大のカニクイザルcDNAコレクションを樹立した。またチンパンジー由来の約15,451個のcDNAクローンも作製・収録し、これらを霊長類モデルを用いた疾患研究に役立てる。
臨床的観点からの成果
サルES細胞を用い、自発分化およびインスリン、IBMX、デキサメサゾン等のホルモン添加によりそれぞれ、心筋、脂肪細胞へ分化させる方法を工夫した。またES細胞にPPARg-siRNAを導入し、骨芽細胞へ分化させることに成功した。これらの技術はES細胞をもとに心筋や骨細胞に分化させ、生体に移植する再生医療の進展を加速するものである。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
15件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
10件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Naoki Osada, Katsuyuki Hashimoto, Momoki Hirai, Jun Kusuda
Aberrant termination of reproduction-related TMEM30C transcripts in the hominoids
Gene , 392 (1) , 151-156  (2006)
原著論文2
Wang HY, Osada N, Hashimoto K, Sugano S,et al
Rate of evolution in brain-expressed genes in humans and other primates
PLoS Biol , 5 (13) , 1-8  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-