ヒトゲノム研究に必要な培養細胞研究資源の品質の高度化に関する研究

文献情報

文献番号
200607066A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒトゲノム研究に必要な培養細胞研究資源の品質の高度化に関する研究
課題番号
H18-ゲノム-指定-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
水澤 博(独立行政法人医薬基盤研究所 生物資源研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 増井 徹(独立行政法人医薬基盤研究所 生物資源研究部 )
  • 小原 有弘(独立行政法人医薬基盤研究所 生物資源研究部 )
  • 竹内 昌男(独立行政法人医薬基盤研究所 生物資源研究部 )
  • 原澤 亮(岩手大学 農学部)
  • 清水 則夫(東京医科歯科大学)
  • 星 宏良(株式会社機能性ペプチド研究所)
  • 梅澤 明弘(国立成育医療センター研究所 生殖医療部)
  • 藤堂 剛(京都大学放射線生物研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
60,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒトゲノム研究に必須なヒト由来培養細胞研究資源の品質を高度化して、汚染や誤謬の無い研究材料を提供して研究社会へ貢献することを最終的な目的とした。
研究方法
1.ミクロ・マクロのゲノム解析等を活用した品質の高度化に関する研究
2.ゲノム撹乱要因の汚染微生物等の解析・除去に関する研究
3.ゲノム研究者への情報提供システムの構築に関する研究
結果と考察
1.ミクロ・マクロのゲノム解析等を活用した品質の高度化に関する研究
高発がん性遺伝病患者由来細胞に関して情報を収集・データベース化を行った。
染色体レベルでの安定性評価法開発を行った結果、これらの詳細ゲノム解析が細胞品質管理に重要であることが示された。13種類のウイルス(CMV, EBV, HHV-6, HHV-7, BKV, JCV, ADV, HBV, ParvoB19, HTLV-1, -2, HIV1,HIV-2)を10コピーの感度で同時・半定量測定できるマルチプレックスPCR法を応用したウイルス検査法を確立した。本方法を用いて50細胞株のウイルス検査を実施し、汚染現状を把握することができた。研究に用いる細胞のウイルス汚染検査に関しては、ニーズが高いが検査されていないのが現状であり、他の細胞バンクとの差別化つながると考えられる。
2.ゲノム撹乱要因の汚染微生物等の解析・除去に関する研究
細胞資源中に検出された増殖性粒子を詳細解析し、「ナノバクテリア」と呼ばれるものに類似していることが明らかとなり、細胞培養中に比較的頻繁に見られた。このナノバクテリアに関する研究はヒト結石症との因果関係が示唆されており、新たな細胞資源の汚染微生物として注目する必要があると考えられる。
3.ゲノム研究者への情報提供システムの構築に関する研究
本年度は3200アンプルの分譲を行い、再生医療研究を志向する細胞の分譲依頼が増加した。また海外特にアジア諸国への分譲数が増加しており、細胞バンクの認知度ならびに保有資源の重要性が評価を受けている証拠であると考えている。
結論
細胞資源のウイルス検査体制の確立ならびに新たなる品質評価法の開発を実施し、細胞資源の高度化を行った。これにより細胞資源の品質に関して確固たる地位を築き、生命科学研究の基盤を構築することができた。今後、日本の厚生労働省の細胞資源バンクとして国家の生命科学研究の推進に貢献する研究基盤の構築を目指すものである。

公開日・更新日

公開日
2007-04-16
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200607066C

成果

専門的・学術的観点からの成果
細胞資源のウイルス検査体制の確立ならびに新たなる品質評価法の開発を実施し、細胞資源の高度化を行った。これにより細胞資源の品質に関して確固たる地位を築き、生命科学研究の基盤を構築することができた。今後、日本の厚生労働省の細胞資源バンクとして国家の生命科学研究の推進に貢献する研究基盤の構築を目指すものである。
臨床的観点からの成果
本研究事業によって確立された品質の高度化に関する研究成果は、臨床での再生医療・細胞治療へ応用可能な技術であり、細胞の品質評価に関する重要な知見が得られた。これらの技術の応用により、安全性の高い再生医療・細胞治療の実現が期待できる。
ガイドライン等の開発
細胞のクロスコンタミネーションに関するデータベースをJCRB細胞バンクにて確立しており、その成果により唾液腺癌由来細胞株HSGがHeLa細胞と同一であるということが判明し、HSGを用いて薬理効果を解析した医薬品の添付文書情報の修正を指導した。
その他行政的観点からの成果
細胞の品質高度化によって、広く普及した培養細胞を使用した研究の信頼性向上に貢献できると考えられ、特に公的研究費を使用した研究での研究成果における信頼性向上は行政的観点からも重要であると考えられる。
その他のインパクト
細胞資源に関する技術講習会を開催し、研究者に適切な方法での細胞資源の取り扱いについて普及活動を行った。また、染色体の詳細解析法に関しても技術講習会を実施し、本研究の成果の普及に努めた。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
23件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
30件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Takeuchi M., Kohara A., Mizusawa H., et. al.
Chromosomal Instability in Human Mesenchymal Stem Cells Immortalized with Human Papilloma Virus E6, E7 and hTERT Genes.
In Vitro  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-