移植医療の社会的基盤整備に関する研究

文献情報

文献番号
200608051A
報告書区分
総括
研究課題名
移植医療の社会的基盤整備に関する研究
課題番号
H17-再生-一般-020
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
島崎 修次(杏林大学 救急医学)
研究分担者(所属機関)
  • 北村 惣一郎(国立循環器病センター)
  • 田中 秀治(国士舘大学 救急医学)
  • 山口 芳裕(杏林大学 救急医学)
  • 横田 裕行(日本医科大学 救急医学)
  • 篠崎 尚史(東京歯科大学市川総合病院 角膜センター・アイバンク)
  • 長谷川友紀(東邦大学 医療政策)
  • 大島 伸一(国立長寿医療センター)
  • 高橋 公太(新潟大学大学院 腎泌尿器病態学)
  • 藤田 民夫(名古屋記念病院 泌尿器科)
  • 鈴木 和雄(新都市クリニック 泌尿器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
35,904,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
移植医療の社会基盤整備を進めるために、臓器移植においては国際的に確立された手法であるドナー・アクション・プログラム(DAP)をもとに、日本の状況を考慮した教育プログラムの開発、効果検証を実施した。
研究方法
12道府県において、DAPを実施した。さらに、これらの都道府県移植コーディネーターとこれら地域の有力医療機関に配備された、院内コーディネーター(医師、看護師)を対象としたDAPセミナーを開催して、個々の医療機関内での活動を支援するとともに、臓器提供の可能性のある患者の情報を絶やすことなく、意思確認した上で、ドナー管理を確実に実施できる体制整備に向けての解説を実施した。
結果と考察
我が国の臓器移植法制定以来の脳死下臓器提供者は、通算で50名を超えた程度である、主たる原因は、世界と遜色のない国民の臓器提供の意思に反して、医療従事者の臓器移植に対する過小評価、つまり、臓器移植待機患者数の過小認識や臓器移植の成功率への理解不足、並びに、臓器提供に対する負のイメージが強く、さらに、脳死を人の死と理解していない割合も高く、脳死患者の家族に対する臓器提供の話しの切り出し方、悲嘆家族のグリーフケアに自信が無く、トレーニングの経験も少ない事が挙げられた。都道府県に1名が原則の都道府県コーディネーターが有効な資源として移植医療を推進するためには、彼らと医療機関内に配備した院内コーディネーター、さらに、医療従事者の連携を深める事で、わが国の文化に即した臓器提供モデルが構築されるものと思われる。
結論
臓器提供の基盤整備には、移植コーディネーターの基本的な教育システムを、脳死患者の発見、脳死判定、ドナー管理、家族のグリーフケアと言った情報や手段を医療現場に密着して、提供する目的で実施する必要がある。また、これらの作業には移植コーディネーターとして医師が行うことが有効である。スペインで実施されているTPMの経験者による都道府県コーディネーターと院内コーディネーター教育セミナーを開催した。意思表示システムについては、本年度当分担者らが参加して厚労省審議会において、オンラインによる意思表示が検討、実施決定されJOTに配備された。最もニーズの高かったグリーフケアに関する教育については、堤氏が作成中であった、グリーフケア・マニュアルを取り纏めた。本資料に基づく院内での教育効果については現在、実施中であり平成19年度にその効果検証を実施する。HASを実施して、医療従事者の意識がどのように変化したかをモニターすることが必要である。

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