同種造血幹細胞移植治療の成績向上を目指した包括的臨床研究

文献情報

文献番号
200608047A
報告書区分
総括
研究課題名
同種造血幹細胞移植治療の成績向上を目指した包括的臨床研究
課題番号
H17-再生-一般-016
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
高上 洋一(国立がんセンター中央病院・薬物療法部)
研究分担者(所属機関)
  • 平家 勇司(国立がんセンター中央病院・薬物療法部)
  • 中尾 眞二(金沢大学大学院医学系研究科・細胞移植学)
  • 河野 嘉文(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科・小児科学)
  • 松井 利充(神戸大学大学院医学系研究科・応用分子医学講座)
  • 林 邦雄(国家公務員共済組合連合会京阪奈病院・内科)
  • 宇都宮 與(慈愛会今村病院分院・院長)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ミニ移植を含めた同種造血幹細胞移植は致死的合併症が非常に多く発生するが、治療の適正化、標準化と安全性の向上研究は進んでおらず、有用な新薬の導入も遅れている。本研究では、これを克服するための臨床試験を遂行し、個々の疾患に対する治療適応を明確にする。移植治療の成績向上には移植片対宿主病(GVHD)やサイトメガロウィルス(CMV)・真菌などによる重症感染症の克服が重要であり、新規薬剤の導入のための臨床的検討に加え、造血や免疫機能の回復過程を詳細に解析する基礎研究も推進する。この過程で、国内と海外施設からの研修医を受け入れて、移植治療の均てん化と国際貢献に寄与する。
研究方法
他に有効な治療法がない白血病などの患者を対象として各種の移植臨床試験を遂行し、治療に科学的根拠を賦するために移植後の免疫動態に関する基礎研究を行う。また、ドナーリンパ球輸注療法の安全性を確保する目的で、自殺遺伝子を導入する手技を開発する。これらの研究活動に関する研修を行う。
結果と考察
ミニ移植に必須の薬剤であるフルダラビンの適応拡大のための新GCP試験を終え、その成果に基づいて薬剤が承認される見込みとなった。その他の臨床試験全般については約7割の症例登録率を達成し、一部は終了してその結果を学会ならびに誌上で発表予定である。抗腫瘍・ウィルス免疫機構の解明も進み、領域で最も権威ある国際学会である全米血液学会において、本年度も9演題もの多数が採用された。また、自殺遺伝子治療については基本的手技の検討を終え、倫理審査委員会に審査を申請した。その他、全国および海外の施設から計10人の任意研修医を受け入れて教育研修を行った。
同種免疫反応には人種差があり、欧米のエビデンスを我が国の移植現場に直接当てはめることはできない。本研究では、各種の造血幹細胞移植の標準化のための厳正な臨床試験を遂行し、安全性向上のための合併症対策を検討して我が国固有のエビデンスを蓄積しつつある。海外からも研修者を受け入れたことは、国際貢献にも大きく寄与する。
結論
同種移植の標準化、新薬の導入、新規治療の開発と安全性向上を目指した臨床試験と基礎研究を推進した。また、国内外の施設からの研修者も受け入れて教育し、国民医療水準の向上と均てん化、国際貢献にも大きく寄与した。

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