骨髄、末梢血等を利用した効率的な造血細胞移植の運用・登録と臨床試験体制の確立並びにドナー及びレシピエントの安全確保とQOL向上に関する研究

文献情報

文献番号
200608046A
報告書区分
総括
研究課題名
骨髄、末梢血等を利用した効率的な造血細胞移植の運用・登録と臨床試験体制の確立並びにドナー及びレシピエントの安全確保とQOL向上に関する研究
課題番号
H17-再生-一般-015
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
小寺 良尚(名古屋第一赤十字病院輸血部、造血細胞移植センター)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 律朗(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 岡本 真一郎(慶應義塾大学医学部)
  • 原田 実根(九州大学大学院医学研究院)
  • 一戸 辰夫(京都大学大学院医学研究科)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学)
  • 赤塚 美樹(愛知県がんセンター研究所)
  • 小川 誠司(東京大学医学部附属病院)
  • 池原  進(関西医科大学)
  • 森島 泰雄(愛知県がんセンター中央病院)
  • 笹月 健彦(国立国際医療センター)
  • 猪子 英俊(東海大学医学部)
  • 屋部 登志雄(東京都赤十字血液センター)
  • 村田  誠(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 加藤 俊一(東海大学医学部)
  • 秋山 秀樹(東京都立駒込病院)
  • 土田 昌宏(茨城県立こども病院)
  • 鎌田  薫(早稲田大学大学院法務研究科)
  • 谷本 光音(岡山大学医歯薬学総合研究科)
  • 中尾 康夫(札幌北楡病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
44,879,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
造血幹細胞移植医療の急増する需要に対する供給率と移植成績の向上並びにドナーの更なる安全確保を目的とする。
研究方法
日本造血細胞移植学会、小児血液学会、骨髄移植推進財団、さい帯血バンクネットワーク並びにアジア、北米、ヨーロッパと共同で患者並びにドナーの登録システムを充実させるとともに、新しい移植法等を健保適用医療にしてゆくために必要な臨床試験を実施する。
結果と考察
1)アジア10カ国がアジア造血細胞移植登録機構(ABMTR)を発足させることを指導するとともに、初期の登録を開始した。北米造血細胞移植登録機構(CIBMTR)、欧州造血細胞移植登録機構(EBMTR)、ABMTR共通の登録様式を定める作業を開始した。当研究班・日本造血細胞移植学会共同作業の結果から、造血幹細胞ドナーの安全性を高次元で担保する必要性が国際的にも認識された。これらはこの分野のGlobalizationに貢献すると考える。2)わが国の造血細胞移植症例登録一元化を完成させた。これにより各種造血幹細胞移植の正確な相互比較が可能になろう。3)中国骨髄バンクとの正式提携を指導した。これは一部稀なHLA型を有する患者にとって朗報となろう。4)血縁末梢血幹細胞ドナーの5年間に渡る急性期、6年間にわたる中長期有害事象の結果をまとめ、骨髄ドナーのそれと比較して、末梢血ドナーの白血病発症率は骨髄ドナーのそれと差が無いことを示した。これは骨髄バンクドナーへ本法を適用するに当たって有用な情報になろう。5)HLA2座以上不適合移植の結果は受容しうるものであることを示した。6)幹細胞ドナー由来活性化CD4細胞による移植後ウイルス感染症の治療経験、7)同じくマイナー抗原特異的T細胞による移植後再発白血病治療に対する治療経験は細胞治療のモデルを形成した。8)骨髄内骨髄移植法を国内でヒトにおいて実施し(自家移植)、生着が得られることを確認した。9)骨髄バンクドナー・レシピエントのペアリンパ球保存事業を継続し、HLA遺伝子学的適合度と移植成績の相関につき解析を再開した。10)血縁ドナー全件事前登録制度を、日本造血細胞移植学会を母体として発足させた。これは血縁造血幹細胞ドナーの権利擁護・安全確保にも貢献すると考える。
結論
多様化した造血幹細胞移植療法は、ドナーの権利と安全擁護を更に強化しつつ新たな発展を遂げつつある。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-