間葉系幹細胞を用いた心筋血管再生療法の基礎及び臨床研究

文献情報

文献番号
200608041A
報告書区分
総括
研究課題名
間葉系幹細胞を用いた心筋血管再生療法の基礎及び臨床研究
課題番号
H17-再生-一般-009
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
北村 惣一郎(国立循環器病センター)
研究分担者(所属機関)
  • 永谷 憲歳(国立循環器病センター研究所 再生医療部)
  • 大串 始(産業技術総合研究所 セルエンジニアリング研究部門)
  • 竹下 聡(国立循環器病センター 心臓血管内科)
  • 清水 達也(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 再生医療)
  • 盛 英三(国立循環器病センター研究所 心臓生理部)
  • 宮武 邦夫(独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター)
  • 中谷 武嗣(国立循環器病センター 臓器移植部)
  • 八木原 俊克(国立循環器病センター 心臓血管外科)
  • 山岸 正和(金沢大学大学院 医学系研究科)
  • 小林 順二郎(国立循環器病センター 心臓血管外科)
  • 清水 渉(国立循環器病センター 心臓血管内科)
  • 西川 雄大(国立循環器病センター研究所 先進治療機器開発室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
37,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
骨髄間葉系細胞は、心筋や血管に分化する能力を持ち、また多くの血管新生因子を分泌しパラクライン効果で、心血管の再生保護に関与することが動物実験で明らかとなってきた。本研究では、難治性心不全や狭心症を対象に骨髄間葉系細胞移植による心筋血管再生療法の臨床評価を行うこと、また次世代の細胞移植治療として間葉系幹細胞+細胞シートまたは成長因子によるハイブリット再生治療を開発することを目的とした。
研究方法
間葉系幹細胞を用いた心筋血管同時再生療法の開発に関する臨床試験として、拡張型心筋症や虚血性心筋症に対する経皮的細胞移植治療と虚血性心筋症に対する細胞移植および冠動脈バイパス手術併用療法の安全性と有効性を検討した。また、細胞移植治療の治療増強法としてハイブリット再生治療として幹細胞+細胞シートによる心筋再生療法の開発や幹細胞+インスリン様増殖因子(IGF-1)による心筋再生療法の開発を行った。また間葉系幹細胞移植治療の実用化を目指して間葉系幹細胞の保存技術の開発を行った。
結果と考察
骨髄間葉系細胞による心筋血管再生治療の安全性と有効性に関して、基礎および臨床研究を行った。臨床試験において拡張型心筋症などの難治性心不全に対する安全性と有効性を確認した。今後さらに症例を増やして検討する必要があると考えられた。また心筋梗塞症の新たな治療として間葉系細胞+温度感応性細胞シートによるハイブリット再生治療による心筋再生療法を開発した(Miyahara, et al Nat Med 2006;12:456-65)。一層の間葉系細胞を心筋梗塞部位に移植することで血管を豊富に含んだ厚みのある組織をつくることに成功し、また心機能の改善や心筋リモデリングの抑制効果を確認した。また、間葉系細胞+成長因子(IGF-1)によるハイブリット再生治療として、強力な抗アポトーシス作用と心筋保護作用を持つIGF-1を細胞移植に併用し、両者の相加・相乗効果を確認した。今後は大動物を用いた前臨床研究を経て臨床試験を行っていく予定である。
結論
拡張型心筋症や虚血性心筋症に対して自己骨髄間葉系細胞の移植による心筋血管再生療法の基礎および臨床研究を行った。慢性心不全患者を対象とした臨床試験では、骨髄間葉系細胞移植の安全性と有効性を確認した。また、基礎研究として、次世代の細胞移植治療として間葉系幹細胞+細胞シートまたは成長因子によるハイブリット再生治療による心筋再生療法を開発した。

公開日・更新日

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