ES細胞からの腎臓細胞誘導法の開発

文献情報

文献番号
200608036A
報告書区分
総括
研究課題名
ES細胞からの腎臓細胞誘導法の開発
課題番号
H17-再生-一般-004
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
西中村 隆一(熊本大学発生医学研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 小林 千余子(熊本大学発生医学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本で腎不全により人工透析を受ける人は年々増加しているが、腎機能を回復させる画期的な治療法はいまだ存在しない。腎臓領域に再生医療を導入しようとするときに決定的に欠けているもの、それは腎臓前駆細胞を検定する系である。我々は、前駆細胞が存在する発生期腎臓を用いて、前駆細胞を同定する系を確立したので、これを基盤にES細胞からの誘導を試みる。より長期的には、腎臓誘導条件を広く開示すれば、骨髄間葉系幹細胞など多領域の研究者の参入が期待でき、飛躍的に実用性が増すであろう。
研究方法
本計画ではES細胞から腎臓前駆細胞への誘導を目指す。我々が単離した核内因子Sall1は、腎臓前駆細胞を含むと考えられる後腎間葉に発現し、そのノックアウトマウスは腎臓を欠損する。この遺伝子座にGFPを導入したマウスの後腎間葉を、Wnt4発現フィーダー上で培養すると、1個の細胞からコロニーが形成され、このコロニーは糸球体、近位尿細管、遠位尿細管という多系統へ分化することを見いだしている。よってES細胞から誘導した細胞をこのコロニーアッセイに投入することによって、前駆細胞を同定する。ESの分化系としては2次元に展開する方法と3次元の胚様体形成法の二つを用いる。
結果と考察
ESを2次元で分化させる方法をほぼ再現し、分化誘導した各分画をコロニーアッセイと器官培養に投入した。しかし、どの分画からもコロニーや尿細管は形成されなかった。次に腎臓発生カスケードの現時点での最上流Pax2を薬剤制御下に誘導できるESを作成し、同じアッセイに投入したがこれも陰性の結果であった。またSall1の遺伝子座にGFPを挿入した ES細胞も誘導には適さなかった。そこで発生期に発現する別の遺伝子座にGFPを挿入したESを作成し,胚様体を形成させたところ、GFPが増加した。
結論
ようやく誘導法の原形とそれに反応するGFPノックインES細胞を確立したので、今後このGFP陽性細胞をコロニーアッセイに投入することによって前駆細胞の誘導法を探りたい。

公開日・更新日

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