文献情報
文献番号
200608035A
報告書区分
総括
研究課題名
骨・軟骨・関節疾患を標的としたCNP-guanylyl-cyclase-B systemのトランスレーショナルリサーチ
課題番号
H17-再生-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
中尾 一和(京都大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 寒川 賢治(国立循環器病センター研究所)
- 八十田 明宏(京都大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
36,046,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
これまでナトリウム利尿ペプチドファミリーのトランスレーショナルリサーチを展開し、ANP・BNP/GC-A系の心臓血管ホルモンとしての意義の解明、診断薬、心不全治療薬としての臨床応用に成功した。本研究ではCNP/GC-B系の極めて強力な骨伸長促進作用と関節軟骨に対する肥大化作用の発見を踏まえて、骨、軟骨、関節疾患におけるCNP/GC-B系の意義を解明し、新規治療薬としての臨床応用を実現するトランスレーショナルリサーチである。
研究方法
CNP/GC-B系の遺伝子改変マウス(CNPノックアウトマウス、軟骨特異的CNP過剰発現トランスジェニックマウス、GC-Bノックアウトマウス)を用いて、内軟骨性骨化による骨伸長促進作用におけるCNP/GC-B系の意義を詳細に検討した。さらに、臨床応用にあたり、CNP投与モデルとしてSAPプロモーターを用いた血中濃度上昇型CNP過剰発現トランスジェニックマウスを解析し、実際のCNP投与の効果を検討した。また、骨軟骨局所におけるCNP/GC-B系の賦活化について、CNP局所クリアランスシステムの意義を、マウス胎仔脛骨器官培養系を用いて検証した。
結果と考察
CNPノックアウトマウスと同様にGC-Bノックアウトマウスにおいても内軟骨性骨化により形成される骨の伸長障害が確認され、骨伸長促進系としてのCNP/GC-B系の意義が確立した。CNP投与モデルの解析として、まずSAPプロモーターを用いたCNPトランスジェニックマウスの実験では、CNPノックアウトマウスにおいてSAPプロモーターを用いて血中CNP濃度を上昇させることによりその躯幹の短縮、椎骨および長管骨の伸長障害が改善した。さらにCNP持続投与による野生型マウスの骨伸長促進効果を確認し、局所因子であるCNPが全身投与でも有効であることが明らかとなった。また、ナトリウム利尿ペプチドのクリアランス受容体を特異的アゴニスト(C-ANF)を用いてブロックすることによって培養脛骨の伸長が促進することを証明し、CNP/GC-B系賦活化における成長板局所CNPクリアランス系の意義を明らかにした。
結論
骨軟骨疾患を標的としたCNP/GC-B系賦活化のトランスレーショナルリサーチを推進した。今後実際の臨床使用に向けて、より具体的な項目についての最適化を図る予定である。
公開日・更新日
公開日
-
更新日
-