肺がん感受性を規定する遺伝子に関する研究

文献情報

文献番号
200607029A
報告書区分
総括
研究課題名
肺がん感受性を規定する遺伝子に関する研究
課題番号
H17-ゲノム-一般-008
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
横田 淳(国立がんセンター研究所 生物学部)
研究分担者(所属機関)
  • 河野 隆志(国立がんセンター研究所 生物学部)
  • 坂本 裕美(国立がんセンター研究所 腫瘍ゲノム解析・情報研究部)
  • 猪子 英俊(東海大学 医学部)
  • 國頭 英夫(国立がんセンター中央病院 総合病棟部)
  • 鈴木 健司(国立がんセンター中央病院 第一領域外来部)
  • 山本 精一郎(国立がんセンター がん予防・検診研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
34,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肺がん感受性を規定する遺伝要因を解明し、肺がん予防実現に向けた分子情報を得ることを研究目的とする。
研究方法
詳細かつ正確な診療情報を持つ肺がん症例2000以上を用い、高い統計学的検出力のもとに種々の遺伝子多型に対する症例対照研究を行うことで、肺発がん感受性遺伝子群を同定する。病理組織型や喫煙歴等の診療情報、遺伝子多型の組み合わせによる相関の変動を明らかにすることで、同定された遺伝子群の肺発がん感受性における意義を明らかにして、肺がんの発生を効果的に予防する新たな手法の開発までの進展を目指す。
結果と考察
肺がん感受性を規定する遺伝子同定のための症例対照研究に必要な血液試料・診療情報の収集を行った。その結果、肺がん症例は、2,500例に達した。病理組織型の内訳は、腺がんが1,750例、扁平上皮がんが350例、小細胞がんが200例、その他が200例であった。約100-kb間隔で散在する27,000箇所のマイクロサテライト多型に関して、それぞれ200例の肺腺がん症例、非がん対照のDNAからなる2セットのDNAプールを用い、アレル分布の比較を行った。その結果、症例対照間で統計学的に有意にアレル分布の異なる多型を15個に絞り込んだ。マウス肺腺腫感受性遺伝子に対応するヒト遺伝子LRMP、LAS1、KRAS2に存在する遺伝子多型と肺腺がん、肺腺腫リスクとの相関解析を開始した。36個のDNA修復遺伝子に存在するアミノ酸置換を伴う多型50個について、各組織型の肺がんとのリスクとの相関解析を行い、MTH1、OGG1の多型と肺小細胞がん、肺腺がんとの相関を見出した。OGG1多型と肺腺がんとの相関は、6個の症例対照研究におけるメタ解析でも確認された。また、組織型間、喫煙習慣により、感受性を規定するDNA修復遺伝子群は異なることが示唆された。
結論
数個のDNA修復遺伝子を肺がん感受性遺伝子として同定した。全ゲノム相関解析等、さらなる肺がん感受性遺伝子の探索が進行中である。症例数の拡大により、肺がんリスクにおける感受性遺伝子間の相互作用を検討するための研究基盤が整った。

公開日・更新日

公開日
2007-04-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-10-31
更新日
-