関節リウマチ関連遺伝子の同定とその機能解析、相互関連の研究

文献情報

文献番号
200607028A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチ関連遺伝子の同定とその機能解析、相互関連の研究
課題番号
H17-ゲノム-一般-007
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山本 一彦(東京大学大学院医学系研究科内科学専攻アレルギーリウマチ学)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 和彦(東京女子医科大学東医療センター)
  • 岩倉 洋一郎(東京大学医科学研究所ヒト疾患モデル研究センター)
  • 山田 亮(京都大学医学研究科附属ゲノム医学センター)
  • 高地 雄太(理化学研究所遺伝子多型研究センター)
  • 沢田 哲治(東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科)
  • 川畑 仁人(東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科)
  • 神田 浩子(東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科)
  • 藤尾 圭志(東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
38,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチ(RA)の原因は不明であり、多発関節炎を主体とするが血管炎、間質性肺炎などの全身性の疾病である。RAの罹患は個人の生活の質と国家の経済に重大な影響を及ぼしている。RAの原因としての遺伝的な寄与は約60%と計算されており、大きな要因である。そこで本研究では、RA関連遺伝子の機能を詳細に探索し、その機能に関連する分子群とその遺伝子多型を明らかにしつつ、ゲノム情報を今後のRA診療に直結させるシステムを構築することを目的とした。
研究方法
疾患関連遺伝子は一塩基多型(SNP)を中心にケースコントロール関連解析で行った。機能解析は従来の免疫学的、分子生物学的手法を用いた。
結果と考察
1 Peptidylarginine deiminase (PADI)4 の機能解析
我々はRAの疾患関連遺伝子として、全ゲノムスクリーニングによるものとしては世界で初めて、第1染色体にpeptidylarginine deiminase (PADI)4 遺伝子を同定した。PADI4がシトルリン化する蛋白を同定する目的でI型コラーゲンおよびeukaryotic translation initiation factor 4G1(elF 4G1)を同定した。さらに、リコンビナントelF 4G1をシトルリン化すると約50%のRA患者血清がこれと反応した。またPADI4のノックアウトマウスの作成に成功した。
2 SLC22A4(Solute Carrier Family 22 Member 4)の機能解析
SLC22A4の発現量と機能との相関を検討した。
3 民族差の問題
PADI4に関しては、日本の大規模サンプルおよび韓国人サンプルを用いた独立した研究組織による追試で、我々の結果が確認されているが、欧米では、追試による確認がとれないとの報告が多い。このような民族間の相互比較情報は重要である。そこで、韓国、オランダ、フランスなどの研究者とともに共同研究で短時間に情報交換するシステムを立ち上げつつある。本年度は、オランダから1000人規模のRA患者DNAサンプルが供与された。
結論
PADI4, SLC22A4についての機能解析を進めた。現在、より詳細なRAの病態情報をもつ患者DNAサンプルの収集システムの構築を進めており、これらを通して今後遺伝子多型とのより詳細な関係の検討ができるものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2007-04-03
更新日
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