文献情報
文献番号
200607027A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣病の鍵分子、アディポネクチン受容体の病態生理的意義と情報伝達経路の解明
課題番号
H17-ゲノム-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山内 敏正(東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科統合的分子代謝疾患科学講座)
研究分担者(所属機関)
- 窪田 直人(東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科)
- 植木 浩二郎(東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科)
- 門脇 孝(東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
38,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
(1)遺伝子改変マウスの解析によるアディポネクチン受容体の生理的・病態生理的意義の解明
(2)アディポネクチン受容体結合蛋白の同定とそれに基づいた細胞内情報伝達機構の解明
(2)アディポネクチン受容体結合蛋白の同定とそれに基づいた細胞内情報伝達機構の解明
研究方法
Db/dbマウスでアデノウイルスを用いてAdipoR1とR2を肝臓特異的に過剰発現させて、その表現型を解析した。AdipoR1とR2とダブルの遺伝子欠損マウスを作製し、解析した。結合タンパクに関しては遺伝子ノックダウンを行い作用を検討すると共に、GST-融合タンパクを作製してpull-down assayを行った。
結果と考察
(1) AdipoR1とR2のダブル欠損によりアディポネクチンの結合と作用が認められなくなることを明らかにした。 (2) R1及びR2の欠損マウスは、耐糖能障害とインスリン抵抗性を呈した。そのメカニズムとして、インスリン標的臓器において、細胞内中性脂肪含量が増加し、炎症が惹起され、酸化ストレスも増加していることが明らかとなった。(3)肝臓特異的にR1 又はR2を過剰発現させることが、肥満に伴う糖尿病を改善させることを示した。(4)そのメカニズムとしてR1はアディポネクチンと結合してAMPK経路を活性化する事により、またR2はPPARα経路を活性化する事によることを示した。(5)AdipoRの増加による抗糖尿病作用は、アディポネクチンを欠損させたマウスでは認められなくなってしまうことを示した。
AdipoRの結合蛋白に関しても、R1に特異的に結合するタンパクが実際にR2とは結合しない事、さらにキメラ蛋白を用いた実験等により結合ドメインを明らかにした。またこのタンパクの遺伝子ノックダウンによりアディポネクチンによるAMPK活性化が著明に低下した。
AdipoRの結合蛋白に関しても、R1に特異的に結合するタンパクが実際にR2とは結合しない事、さらにキメラ蛋白を用いた実験等により結合ドメインを明らかにした。またこのタンパクの遺伝子ノックダウンによりアディポネクチンによるAMPK活性化が著明に低下した。
結論
(1) 過剰発現と遺伝子欠損による機能解析により、AdipoR1・R2が個体レベルでアディポネクチンの結合と作用に必須の主要な受容体である事、R1・R2が糖・脂質代謝、炎症、酸化ストレス制御に個体レベルで重要な役割を果たす事、R1はアディポネクチンによるAMPK活性化、 R2 は PPARα活性化の経路と、それぞれより強くリンクしている事を証明した(Nat Med 13: 332 - 339, 2007)。
(2) AdipoR1・R2それぞれの特異的結合タンパクによって機能の役割分担の分子機構を説明出来る可能性を示した。
(2) AdipoR1・R2それぞれの特異的結合タンパクによって機能の役割分担の分子機構を説明出来る可能性を示した。
公開日・更新日
公開日
2007-04-17
更新日
-