血小板血栓形成を制御する遺伝子の同定とその成果を用いた予防と治療の個別化

文献情報

文献番号
200607026A
報告書区分
総括
研究課題名
血小板血栓形成を制御する遺伝子の同定とその成果を用いた予防と治療の個別化
課題番号
H17-ゲノム-一般-005
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
宮田 敏行(国立循環器病センター研究所 病因部)
研究分担者(所属機関)
  • 森崎 隆幸(国立循環器病センター研究所 バイオサイエンス部)
  • 岡山 明(国立循環器病センター 予防検診部)
  • 本田 繁則(国立循環器病センター研究所 病因部)
  • 小亀 浩市(国立循環器病センター研究所 脈管生理部)
  • 坂野 史明(国立循環器病センター研究所 脈管生理部)
  • 松本 雅則(奈良県立医科大学 輸血部)
  • 冨山 佳昭(大阪大学大学院 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
38,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、遺伝子・タンパク質の間のネットワーク研究を通して、血小板血栓の形成機構を解明することにより、国民の大きな健康上の不安要因である心筋梗塞や脳卒中の革新的予防法・治療法を目指す。
研究方法
 本研究は研究を大きく3つのグループに分けて進めるものである。
 「血小板凝集の細胞内ネットワーク」は、血小板インテグリンの活性化にかかわる新規因子の同定、および血栓センサー因子や抑制因子に関する研究を行う。
 「血小板凝集にかかわる細胞外ネットワーク」は、血小板の外部の刺激による血小板の活性化メカニズムにかかわる因子を同定する。
 「血小板血栓にかかわる遺伝子を対象とした脳梗塞発症に関する遺伝子」の研究は、多数の試料の血小板凝集能のデータベース化を行うとともに、血小板血栓に重要な役割を果たす遺伝子の多型解析を行う。
結果と考察
 「血小板凝集の細胞内ネットワーク」の研究では、血小板インテグリンαⅡbβ3の活性化にかかわる因子をゲノム網羅的手法でスクリーニングし同定した。血小板の継続的な凝集にはADPが必須である新しいメカニズムを提唱した。
 「血小板凝集にかかわる細胞外ネットワーク」の研究では、ゲノム網羅的手法を用いてスクリーニングを行い、血栓性血小板減少性紫斑病の原因遺伝子ADAMTS13の活性制御や局在性を決める因子を同定した。また、ADAMTS13遺伝子にある程度の頻度があるミスセンス変異を同定した。
 「血小板血栓にかかわる遺伝子を対象とした脳梗塞発症に関する遺伝子」では、血小板凝集関連遺伝子の多型を収集するとともに、一般住民の試料の血小板凝集能の測定を行い、世界的に類を見ない血小板凝集能のデータベース約700名が完了した。
結論
 血小板インテグリン制御因子とADAMTS13結合タンパク質を同定した。また、血小板関連遺伝子多型を同定した。世界に類を見ない一般住民の血小板凝集活性能のデータベース化、約700名が完了、1200名を目指す。これらを用いて、人為的に血小板血栓を制御する基盤ができた。

公開日・更新日

公開日
2007-03-14
更新日
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