遺伝性脊髄小脳変性症(16q-ADCAⅢ)の分子病態解明

文献情報

文献番号
200607023A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝性脊髄小脳変性症(16q-ADCAⅢ)の分子病態解明
課題番号
H17-ゲノム-一般-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
石川 欽也(東京医科歯科大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 水澤 英洋(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科脳神経病態学)
  • 常深 泰司(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科脳神経病態学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
21,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、本邦に存在する原因不明の遺伝性脊髄小脳変性症の中では最も頻度が高いと考えられる、第16番染色体長腕に連鎖する常染色体優性遺伝性皮質性小脳萎縮症(16q-ADCAIII)の原因遺伝子を同定することである。平成18年度はその2年度目である。
研究方法
昨年度は、16q-ADCAIII の52家系を全国から集積し、共通するハプロタイプが存在する領域に存在する新しい遺伝子“puratrophin-1” (DKFZP434I216)の、翻訳開始直前16塩基の位置にあるシトシン(C)が、患者では特異的にチミン(T)に置換していることを誌上報告した(Ishikawa K & Toru S et al. Am J Hum Genet 77: 280-296, 2005)。しかし、公表後この遺伝子変化を有さず、ごく軽い運動失調を示す患者を1名見出したため、この領域付近に存在する別の遺伝子に真の変異がある可能性が出現した。このため、本年度は家系を出来る限り増やし、候補領域を再度設定し直すこととした。
結果と考察
マイクロサテライトマーカーの不安定性を示すマーカーが多数存在することが判明し、以前、最も可能性が高いと限定化していた候補領域の外にもハプロタイプの共通する領域が認められた。このようなことから、再度候補領域を限定化したところ、以前決定した候補領域より動原体側に伸びる900kb領域が真の候補領域であることが分かった。この領域について、ゲノムシークエンシング、サザン解析、TaqMan解析、array CGH解析などを行ったところ、患者に特有の遺伝子変化を複数認めた。このうちの1つの変化について真の原因である可能性を強く疑っている。一方、患者の第16番染色体長腕16q22.1領域を含有するBAC cloneの連続によるcontigを構築した。現在までそのクローンのシークエンス解析中である。
結論
本疾患の原因同定は間近であると考えている。

公開日・更新日

公開日
2007-10-24
更新日
-