アトピー性疾患の疾患感受性遺伝子同定に関する研究

文献情報

文献番号
200607022A
報告書区分
総括
研究課題名
アトピー性疾患の疾患感受性遺伝子同定に関する研究
課題番号
H17-ゲノム-一般-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
有波 忠雄(筑波大学 人間総合科学研究科遺伝医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 野口恵美子(筑波大学 人間総合科学研究科遺伝医学分野)
  • 玉利 真由美(理化学研究所アレルギー体質関連遺伝子研究チーム)
  • 藤枝 重治(福井大学医学部感覚運動医学講座・耳鼻咽喉科頭頸部外科学)
  • 内田 和彦(筑波大学人間総合科学研究科生化学分野)
  • 鈴木 洋一(千葉大学大学院医学研究院環境医学講座公衆衛生学)
  • 斎藤 博久(国立成育医療センター研究所免疫アレルギー研究部)
  • 大塚 藤男(筑波大学人間総合科学研究科皮膚病態医学分野)
  • 柴崎 正修(筑波技術大学小児科)
  • 荒川 浩一(群馬大学小児生態防御学)
  • 前仲 勝実(九州大学生体防御医学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
20,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アトピー性疾患は罹患者も多く、その病態の解明と治療法の開発は医療および経済的に急務の課題である。本研究では日本人のアトピー性皮膚炎と花粉症の患者家系および症例対照サンプルを用いて、全ゲノム網羅的解析により疾患感受性遺伝子を同定することを目的とした。
研究方法
日本人アトピー性皮膚炎患者および花粉症家系および症例対照サンプルを用いてSNPによる全ゲノム連鎖解析を行い、続いて、連鎖領域のデンスマッピングをおこない関連の認められたSNPsを検出する。
結果と考察
アトピー性皮膚炎:イルミナタイピングシステムを使用して77家系111罹患同胞対299人の全ゲノム連鎖解析が終了し、1番および15番染色体に連鎖領域を見いだした(論文投稿中)。連鎖領域のデンスマッピングを113家系384人について行い、8遺伝子11SNPにおいてアトピー性皮膚炎との関連が認められたため現在三次解析による関連解析が進行中である。花粉症:スギ花粉症患者を対象に10万SNP(イルミナ社)を使用した一次解析(症例93:対照45)および独立したサンプルによる二次解析(症例235:対照149)が終了した。対照はアレルギー疾患および花粉症の症状がなく、かつ、スギおよびダニに対するIgE抗体が陰性である健康成人を対象とした。7遺伝子について有意な関連が認められている(P<0.01)。
 発現解析については血漿プロテオームにおいて花粉症暴露により変動する2タンパク質、舌下免疫療法により変動する1タンパク質を同定し、現在はウエスタンブロットおよびELISA法による確認を行っている。末梢血単核球における網羅的遺伝子発現解析では、花粉暴露により変動する遺伝子群および舌下免疫療法関連遺伝子を同定し、パスウェイの構築を行い、花粉暴露関連のhub geneとしてMAPK1, IFNG, 舌下免疫療法関連のhub geneとしてTNFが同定されている。
結論
アトピー性皮膚炎についてはSNPによる全ゲノム連鎖解析により日本人アトピー性皮膚炎家系において1番および15番染色体に連鎖領域を見いだした。二次解析(デンスマッピング)では8遺伝子11SNPにおいてアトピー性皮膚炎との関連が認められた。  
花粉症のゲノム解析については10万SNPによる一次解析および独立したサンプルにおける二次解析が終了し、7遺伝子について有意な関連が認められた(P<0.01)。網羅的遺伝子タンパク質発現解析については花粉暴露および舌下免疫療法関連遺伝子・タンパク質を同定した。

公開日・更新日

公開日
2007-04-11
更新日
-