月経血・末梢血および臍帯血由来の間葉系幹細胞の提供システムのすみやかな確立と成育疾患への適応

文献情報

文献番号
200608019A
報告書区分
総括
研究課題名
月経血・末梢血および臍帯血由来の間葉系幹細胞の提供システムのすみやかな確立と成育疾患への適応
課題番号
H16-再生-一般-009
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
梅澤 明弘(国立成育医療センター研究所 生殖医療研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 室井 一男(自治医科大学血液学 血液学)
  • 武田 伸一(国立精神・神経センター神経研究所 分子生物学)
  • 落合 淳志(国立がんセンター研究所支所臨床腫瘍病理部 腫瘍病理学)
  • 望月 直樹(国立循環器病センター研究所 分子循環器病学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 骨髄由来間葉系細胞の寿命延長を可能とした「ストレスのない培地 」の開発経験に基づき、月経血、臍帯血、末梢血由来のヒト間葉系細胞を増殖させ、先天性代謝疾患を含めた遺伝病および細胞治療が有効とされる疾病に対する新たな細胞治療法を開発する。当該年度では特に、ヒト間葉系細胞の分離培養、細胞のプロファイルの確定後、培養細胞の寿命延長過程における細胞の検討を行う。それらの細胞を移植することにより、免疫不全化(SCID化)した疾病モデル動物に対する治療効果を詳細に明らかにする。
研究方法
ヒト細胞に関しては、月経血・臍帯血・末梢血由来の間葉系幹細胞を用いる。月経血・臍帯血・末梢血由来のヒト間葉系幹細胞が多分化能を有する状態を保つ培養条件、方法を確立し、それらの細胞に細胞寿命の延長をはかり、移植に必要な細胞量を確保する。
結果と考察
国立成育医療センター研究所の施設に有するGMP基準に沿った機関内細胞プロセッシング・センターにおいて、日本国内の研究施設より要請があった場合に高い安全性を有し、標準化された培養システムによって増殖する間葉系細胞を提供することを開始した。間葉系細胞を用いた細胞治療に関する倫理性および安全性のdue processを提示することになり、この提示された過程に従い、提供医療施設を増やしていくと同時に公的細胞バンクに寄託する。
結論
現在の間葉系細胞培養に使用されている条件は、ウシ血清、ウシ胎児血清等で作製されたヒト増殖因子が利用されており、外来種由来感染源の混入は否定できない。このため治療法としての安全性、有効性の基準の確立は急務であり、日本国内で進められている様々な幹細胞に対するフィーダー能を有するのみならず、その細胞自身が多分化能を有する間葉系細胞を適切に提供するシステム構築は、分子基盤を明らかにすると同時に推進していくことが社会への責務である。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-

文献情報

文献番号
200608019B
報告書区分
総合
研究課題名
月経血・末梢血および臍帯血由来の間葉系幹細胞の提供システムのすみやかな確立と成育疾患への適応
課題番号
H16-再生-一般-009
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
梅澤 明弘(国立成育医療センター研究所 生殖医療研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 室井 一男(自治医科大学血液学)
  • 武田 伸一(国立精神・神経センター神経研究所)
  • 落合 淳志(国立がんセンター研究所支所臨床腫瘍病理部)
  • 望月 直樹(国立循環器病センター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 骨髄間質細胞は、すでに造血幹細胞の生着促進を目的に骨髄移植と同時に移植が行われて始め、移植細胞の生着促進のみならず、移植片対宿主反応を抑制する可能性が示されてきた。骨髄由来間葉系細胞の寿命延長を可能とした「ストレスのない培地」の開発経験に基づき、臍帯血、末梢血由来のヒト間葉系細胞を増殖させ、細胞治療が有効とされる疾病に対する新たな細胞治療法を開発する。具体的には、ヒト間葉系細胞の分離培養、細胞のプロファイルの確定後、培養細胞の寿命延長過程における細胞の分化能を含めた検討を行う。
研究方法
 独自に確立した間葉系細胞培養システムを用いて、子宮内膜、臍帯血、末梢血由来の間葉系細胞を単離し、増殖させ、細胞移植の供給源とする細胞提供システム構築を試み、標準化された培養システムによって増殖する間葉系細胞を提供することを開始した。間葉系細胞は臍帯血、末梢血から得ることになり、間葉系細胞を用いた細胞治療に関する倫理性のdue processを提示することになり、この提示された過程に従い、提供医療施設を増やしていくと同時に公的細胞バンクに寄託する倫理的手続きを進めた。
結果と考察
 間葉系幹細胞は、神経幹細胞、造血幹細胞と共に再生医療という治療戦略の重要な一翼を担う。臨床においても、骨髄間質細胞の移植が行われている。同時に、骨髄移植において生着不全を防ぐことを目的に、骨髄間質細胞移植が始められている。これらの臨床試験は、移植細胞の生着促進のみならず、移植片対宿主反応を抑制する可能性を示した。本研究では、マウスのみならずヒト骨髄からも比較的増殖能力の高い間葉系細胞を数種類、分離、培養した。
結論
 現在の間葉系細胞培養に使用されている条件は、ウシ胎児血清、ならびに動物細胞、大腸菌等で作製されたヒト増殖因子が利用されており、外来種由来感染源の混入は否定できない。このため治療法としての安全性の基準の確立は急務であり、日本国内で進められている様々な幹細胞に対するフィーダー能を有するのみならず、その細胞自身が多分化能を有する間葉系細胞を適切に提供するシステム構築は重要な意義を有する。ヒト臍帯血・末梢血由来の間葉系細胞の増殖をコントロールし移植への系を確立することは移植医療の新たなパラダイムの獲得につながる。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-10-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200608019C