文献情報
文献番号
200608014A
報告書区分
総括
研究課題名
膵島移植実施のための膵島品質管理と膵島バンク構築の研究
課題番号
H16-再生-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
剣持 敬(独立行政法人国立病院機構千葉東病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 松本 慎一(京都大学医学部附属病院 臓器移植医療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
34,454,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
膵島移植は安全性、低侵襲性、再生医療への発展など多数の利点を有する糖尿病根治療法である。わが国でも膵島移植の臨床実施が開始された。膵島移植医療を定着させるにはドナーソース拡大とともに、提供された膵臓からより多くの膵島を収集することと、過不足無く移植に用いるシステム作りが急務である。本研究では細胞である膵島を皮膚などの組織と同様にバンキングして必要時に必要な膵島を提供することを可能とする膵島バンク構築を目的とする。
研究方法
1.膵島品質向上の技術開発:われわれが米国カリフォルニア大学ロスアンゼルス校(UCLA)との共同研究により開発した方法およびEdmonton Protocolの膵島分離法に改善を加え、大動物モデルにて、その有効性を確認する2.膵島品質管理・評価の技術開発:米国FDA基準、特にcGMP、cGTP基準を参考としてわが国での基準を提案する。3.優れた膵島凍結保存法の開発:現在われわれが用いているCP-1液を用いた大量一括膵島凍結法を大動物モデルにて、その有効性を確認し臨床膵島凍結保存に応用する。4.臨床膵島移植の実施:以上の基礎的研究と平行して、臨床膵島移植を実施する。
結果と考察
1.国立病院機構千葉東病院および京都大学においてGMP準拠のCell Processing Center(CPC)を設置した(剣持、松本)。2.イヌ膵島移植モデルを用いて、1)効率的膵島分離法、効率的凍結保存法を確立した(剣持)、2)非純化膵島移植でも十分な移植効果があることを示した(剣持)、3)CP-1凍結保存液を用いてイヌ膵島凍結保存モデルにて有効性を確認した(剣持)、3.1)ブタ膵島移植モデルを用いて、効率的純化法を確立した(松本)、2)摘出膵の効率的保存法を確立した(松本)。4.新鮮膵島移植を12名・25回(千葉東病院4名、京都大学8名)に施行した。複数回移植した3名にインスリン離脱が得られた。他の9名も低血糖発作の消失、インスリン投与量の減少、HbA1Cの低下が見られた。
結論
本研究において、わが国の膵島移植のための基盤整備、特に膵島の分離・凍結保存・移植に必須であるGMP準拠のCPCの基準を作成した。また動物実験を経て実施した新鮮膵島移植の臨床例において、わが国の心停止ドナー膵からの膵島移植が十分施行可能であることが立証された。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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