組織工学的手法を用いた気道再生の基礎的・臨床的研究

文献情報

文献番号
200608012A
報告書区分
総括
研究課題名
組織工学的手法を用いた気道再生の基礎的・臨床的研究
課題番号
H16-再生-一般-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大森 孝一(公立大学法人福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 挾間 章博(公立大学法人福島県立医科大学医学部生理学第一講座)
  • 中村 達雄(京都大学医学部再生医科学研究所)
  • 金丸 眞一(京都大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学)
  • 松塚 崇(公立大学法人福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座 )
  • 多田 靖宏(公立大学法人福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座 )
  • 横山 秀二(公立大学法人福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
12,822,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、気道の臓器の機能的再生をはかり、気道病変切除後の呼吸、嚥下、発声、構音の機能障害を回避し、Quality of Lifeの向上を実現することにある。組織工学(Tissue Engineering)の手法を用いて気道の組織再生を目指して、自己組織再生型の人工材料を開発する。動物を用いて臓器再生の足場として人工材料あるいは骨髄由来間葉系細胞などを気管及び喉頭の欠損部に移植し、組織再生をはかる。特に、気道上皮の形態と機能の再生を早期に実現するために、気管上皮細胞あるいは骨髄由来間葉系細胞と人工材料を組み合わせたハイブリッド型人工気管や脂肪組織由来幹細胞と自己の線維芽細胞と人工材料を組み合わせたハイブリッド型人工気管を作製する。
研究方法
基礎実験として、自己の組織が再生するようにデザインされた人工材料を開発し、この移植により動物実験で気道の安定した組織再生を評価する。気道上皮化の加速をはかるべく動物実験で脂肪組織由来幹細胞と線維芽細胞とコラーゲンからなるハイブリッド人工材料の開発と移植を行い、その有用性を確認する。また、形態の複雑な喉頭,特に声帯の再生を目的に声帯の隆起を型取った人工材料を開発する。
結果と考察
基礎実験として、ラットなどの動物実験で脂肪組織由来幹細胞、線維芽細胞からなるハイブリッド人工材料を開発し、その移植を行い上皮化の促進を確認した。
また、形態の複雑な喉頭、特に声帯の再生を目的に声帯の隆起を型取った人工材料を筋膜で覆い移植した結果、術後3ヵ月にて良好な形態と上皮化を得た。
平成14年に倫理委員会で承認の上「喉頭・気管の再生治療」を世界で初めて臨床応用し、平成18年度には喉頭外傷後の狭窄例1例に対して行い再狭窄無く良好な成績を得ている。
結論
再生医学研究は急速に進められているものの、臨床に応用されているものはまだ数少ない。このin situ Tissue Engineeringを用いた気道の再生治療は我が国で世界に先駆けて実用化されたものである。今後一般医療として普及するように研究をさらに積み重ねていくことが重要である。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-

文献情報

文献番号
200608012B
報告書区分
総合
研究課題名
組織工学的手法を用いた気道再生の基礎的・臨床的研究
課題番号
H16-再生-一般-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大森 孝一(公立大学法人福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 挾間 章博(公立大学法人福島県立医科大学医学部生理学第一講座)
  • 中村 達雄(京都大学医学部再生医科学研究所)
  • 金丸 眞一(京都大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学)
  • 松塚 崇(公立大学法人福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座 )
  • 多田 靖宏(公立大学法人福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座 )
  • 横山 秀二(公立大学法人福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、気道の臓器の機能的再生をはかり、気道病変切除後の呼吸、嚥下、発声、構音の機能障害を回避し、Quality of Lifeの向上を実現することにある。組織工学(Tissue Engineering)の手法を用いて気道の組織再生を目指して、自己組織再生型の人工材料を開発する。気道上皮の形態と機能の再生を早期に実現するために、気管上皮細胞あるいは骨髄由来間葉系細胞と人工材料を組み合わせたハイブリッド型人工気管や脂肪組織由来幹細胞と自己の線維芽細胞と人工材料を組み合わせたハイブリッド型人工気管を作製する。
研究方法
基礎実験として、自己の組織が再生するようにデザインされた人工材料を開発し、この移植により動物実験で気道の安定した組織再生を評価する。気道上皮化の加速をはかるべく動物実験で気管上皮細胞層とコラーゲンからなるハイブリッド人工材料の開発や脂肪組織由来幹細胞と線維芽細胞の移植を行い、その有用性を確認する。また、形態の複雑な喉頭,特に声帯の再生を目的に声帯の隆起を型取った人工材料を開発する。
結果と考察
基礎実験として、自己の組織が再生するようにデザインされた人工材料を開発し、この移植により動物実験で気道の安定した組織再生を最長5年の観察にて確認した。さらに、ラットなどの動物実験で気管上皮細胞、線維芽細胞、脂肪組織由来幹細胞からなるハイブリッド人工材料を開発し、その移植を行い上皮化の促進を確認した。
また、形態の複雑な喉頭、特に声帯の再生を目的に声帯の隆起を型取った人工材料を移植したが安定した成績は得られなかった。そこで、人工材料を筋膜で覆い移植した結果、術後3ヵ月にて良好な形態と上皮化を得た。
平成14年に倫理委員会で承認の上「喉頭・気管の再生治療」を世界で初めて臨床応用し、現在まで7例に行い全例にて再狭窄無く良好な成績を得ている。
結論
再生医学研究は急速に進められているものの、臨床に応用されているものはまだ数少ない。このin situ Tissue Engineeringを用いた気道の再生治療は我が国で世界に先駆けて実用化されたものである。今後一般医療として普及するように人工材料の安定供給を計る必要がある。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200608012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
体内で自己組織の再生を誘導するin situ Tissue Engineeringの手法で、気道の組織再生を目標に基礎的・臨床的研究を行ってきた。自己組織が再生するようにデザインされた人工材料を開発し、この移植で気道の安定した組織再生を最長5年の観察で確認した。気道上皮化の加速をはかるべく、動物実験で気管上皮細胞層とコラーゲンのハイブリッド人工材料の開発や脂肪組織由来幹細胞と線維芽細胞を移植しその有用性を確認した。形態の複雑な喉頭、特に声帯の再生を目的に声帯隆起を型取った人工材料を開発した。
臨床的観点からの成果
本研究により、ヒト頸部気管で世界に先駆けて臨床応用を開始し良好な成績を得た。本法を全周性欠損にも活用することで、より多くの患者のQOL向上への貢献が期待される。さらに、声帯を含む甲状軟骨部分切除モデルを作製し、人工材料と自己筋膜を用いる新規技術の開発により、これまで動物実験で成し得なかった、声帯や甲状軟骨など喉頭の複雑構造を再生できる可能性が見いだされた。本法の活用により、喉頭を含めた気道組織の効果的再生が期待される。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
平成15年版「障害者白書」によると、音声言語、咀嚼および呼吸の認定機能障害者は約12万3千人で、これらの疾患に悩まされている人はその10倍はいるとされている。本研究の研究成果により気道の臓器の機能的再生をはかり、気道病変切除後の呼吸、嚥下、発声、構音の機能障害を回避し、Quality of Lifeの向上を実現することが可能となることが明らかとなった。これらは今後障害者として認定される人数を減少させることにつながる可能性がある。
その他のインパクト
1)「医療材移植、気道を再生」 日本経済新聞,(2007.3.26)日刊
2)「人工気管で粘膜を再生」 朝日新聞大阪本社 (2004. 5. 9)日刊
3)「人工気管移植で組織再生に成功」 朝日新聞東京本社(2004. 5. 9)日刊

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
8件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
3件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2019-05-27
更新日
-