医療機関等が主に対外的に交付するために作成する書類の電子化の様式に関する包括的調査研究

文献情報

文献番号
200606011A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関等が主に対外的に交付するために作成する書類の電子化の様式に関する包括的調査研究
課題番号
H18-特別-指定-012
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山本 隆一(東京大学大学院情報学環)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 直樹(九州大学医学部附属病院医療情報部)
  • 矢野 一博(日本医師会総合政策研究機構)
  • 篠田 英範(保健医療福祉情報システム工業会)
  • 丹治 夏樹(保健医療福祉情報システム工業会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
保健医療福祉分野のITによる構造改革は国民の医療および健康増進を効率的に推進するために不可欠である。また最近になって我が国でも議論されるようになったEHRの構築には、収集すべき情報項目と、その記述方式を標準化することが不可欠である。ただしここでいう標準化はシステム内部の情報記述を統一しようとするものではない。むしろ医療機関が有するべきEMRは医療機関の裁量により採用が決められるべきである。本研究では、医療機関におけるソリューション選定の裁量を尊重しつつ、情報を効率よく収集しつつ蓄積された情報の可用性を高めるための標準化を進めることを目標とし、医療機関が対外的に交付する書類を電子化した場合、または今後提供される電子化情報を様式の標準を提案することを目的とする。
研究方法
1.法令等で作成・保存・交付が規定されている書類をリストアップし、それぞれの利用実態を加味して電子化する際の構造化の程度をレベル分けを行う。内容を人が見れば理解できれば良いものをLevel 1、一部の項目だけを機械的に分類キー等に利用できればよいものをLevel 2、大部分の情報が機械的に扱える必要になるものをLevel 3に分類する。
2.Level 1、2、3のフレームワークの要件を定義し、フレームワークのCDAインスタンスの作成を適当な事業者を選択し委託の上作成する。
3.Level 1、2に関しては上記で作成したフレームワークを用いて本研究班で形式定義を完全なものにする。
4.Level 3に関しては詳細レベルの仕様を個々の文書ごとに本研究班で作成し、適当な事業者を選択してCDAによるインスタンス作成を委託する。
5.以上の結果を踏まえて法令等で保存・作成・交付が規定されている書類の中で、患者等または他の組織に交付されるものについて形式定義を含めた報告書を作成する。
結果と考察
Level1の文書として労災災害補償保険の申請に際して必要とされる診断書、Level2を各種感染症届け、Level3として死亡診断書を取り上げ、それぞれCDAのインスタンスとして作成した。その結果HL7 CDA release2は概ねそれぞれのレベルに応じてこれらの文書の様式を規定するのに適切であることがわかった。また作業も一部のCDAの解釈の問題をのぞいてそれほどの困難はなく、現状での包括的な文書の電子化に適していることがわかった。
結論
医療機関が対外的に交付する文書をLevel分けし、包括的に電子化様式を決めるためにHL7 CDA Release2が適していることがわかった。また実際に使用頻度の高い文書の様式を決めることができた。

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
200606011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究において用いた手法は医療情報に関して世界的にも事実上の標準(デファクト・スタンダード)となりつつあるHL7 CDA Release2を骨格とするもので、医療機関が作成・保存・交付が義務づけられている書類を電子化するに際して分類し様式化できた意義は大きい。HL7 ver.3自体は規格として未完成であるが、CDA Release 2が今後の我が国での医療の情報化において重要な規格になりえることを示し、同時にいくつかの規格上の曖昧な点を明らかにでき、CDA自体の改善にも寄与できると考える。
臨床的観点からの成果
本研究は直接臨床現場に応用されるものではないが、たとえば感染症届けの様式をLevel 2で電子様式を定めたことにより、この様式で提出されれば収集と統計処理は自動で行うことが可能で、感染症の把握が迅速になり、結果として臨床現場に必要な情報をすばやく提供可能になると考えられる。
ガイドライン等の開発
研究結果自体がガイドラインとなりうるが、現時点では行政的には検討に着手されていない。
その他行政的観点からの成果
IT新改革戦略では生涯利活用可能な健康情報データベースが言及され、また包括的な医療連携にもふれられている。これらを実現するためには様々な書類の電子化は避けられず、またいたずらに高度な構造化は実現にコストがかかり、利用されなければまったく意味をなさない。本研究の提唱した再利用のレベル分けに応じた適切な程度の構造化はこれらの施策を進めていく上で基本とされる考え方となりうる。
その他のインパクト
特になし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-