文献情報
文献番号
200606009A
報告書区分
総括
研究課題名
循環器疾患領域における大規模臨床研究の手法に係る研究
課題番号
H18-特別-指定-010
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山本 晴子(国立循環器病センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 戸高浩司(九州大学病院 循環器内科)
- 濱崎俊光(大阪大学 大学院医学系研究科生物統計学)
- 岸本淳司(九州大学 デジタルメディシン・イニシアティブ生物統計学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
1,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
昨今、わが国における治験を含む臨床試験の重要性が認識されてきている。しかし、臨床試験を自立的に計画・実施するノウハウが不足したなかで、不完全な計画や実施体制が散見され、資金不足、人材不足、データ不足などにより予定の結果を得られないままに中断、終了する研究も後を絶たない。一方で、特に生活習慣病領域における診断・治療ガイドラインの作成において、わが国固有のエビデンスの欠落は著しく、生活習慣の大きく異なる欧米のエビデンスを参考にせざるをえない状況が持続している。このような状況を打開し、生活習慣病領域においてより効果的な治療方針を提示するために必要となるエビデンスはなにか、そのために適切な臨床試験計画はどのようなものか、どの程度の資金、期間、及び人材が必要か等を調査、検討した。
研究方法
米国の主要大学における臨床研究関連部門をインターネットで検索し、研究者を対象とした情報提供を豊富に実施している大学を調査した。調査内容は、わが国で特に不足していると思われる、臨床試験実施における実際的な準備、特に人材や資金に関わる情報提供に焦点を絞った。
結果と考察
(1)米国の臨床研究実施施設における臨床研究に関する教育体制及び研究者向け情報提供の内容を調査した。(2)循環器疾患領域における大規模臨床研究を本邦で実施する障壁を検討する目的で診療ガイドライン及び臨床試験の登録状況について国内外の比較を行った。(3)高い質をもって,価値のある根拠をうみだすことができる臨床研究を効率的で生産的に実施・遂行するための,支援体制と人材養成について,大学病院臨床治験事務センターの現状を具体例として,考察した。(4)大学病院における倫理審査委員会プレ審査の経験等より、倫理審査における問題点を抽出、検討した。
結論
米国では臨床研究が非常に盛んであり、多施設共同大規模試験が数多く計画され、実施されている。米国政府における医学領域の臨床研究開発予算もわが国とは比べ物にならない額である。しかし、臨床研究を成功させるために、単に多額の研究費を準備するだけでなく、研究費を効果的かつ効率的に使用するための様々な体制もまた、米国では整えられている。わが国においても、研究費と医療保険との切り分け、さらに研究準備段階における入念な研究資金計画の立案とその支援等を通じて、限られた研究予算内で各臨床研究の実施に見合うだけの研究費を適切に提供することが、多くの臨床研究を成功に導くことのできる鍵の一つになるのではないか。
公開日・更新日
公開日
2015-05-27
更新日
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