ウイルス感染症の診断、疫学および予防に関する研究

文献情報

文献番号
200604005A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイルス感染症の診断、疫学および予防に関する研究
課題番号
H18-国医-指定-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
倉根 一郎(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 高島 郁夫(北海道大学大学院 獣医学研究科)
  • 苅和 宏明(北海道大学大学院 獣医学研究科)
  • 小西 英二(神戸大学 医学部)
  • 倉田 毅(富山県衛生研究所)
  • 武田 直和(国立感染症研究所 ウイルス第二部 )
  • 中込 治(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科)
  • 西條 政幸(国立感染症研究所 ウイルス第一部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 国際医学協力研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
14,827,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アルボウイルス感染症、ウイルス性下痢症、ウイルス性出血熱、狂犬病を中心に、特にアジアにおいて問題となるウイルス感染症に関し、(1)診断、検査法の確立と、疫学調査による国内外における流行状況の解明、(2)各種病原体の解析に基づく病態形成機序の解明、(3)ワクチン等予防治療法確立のための基盤確立、を目的した。
研究方法
アルボウイルス感染症に関する研究、ウイルス性出血熱に関する研究、ウイルス性下痢症に関する研究、狂犬病に関する研究の4分野にわたって研究を行った。主任研究者、分担研究者計14名が遂行した。
結果と考察
アルボウイルス感染症については、(1)ダニ媒介性脳炎の血清疫学のための抗体検査法を確立した。(2)新しい日本脳炎NS1抗体測定法を確立した。(3)国内における日本脳炎ウイルスの遺伝子型を明らかにした。(4)新型日本脳炎ウイルスワクチン開発の基盤を確立した。ウイルス性出血熱については、(1)東南アジアにおけるハンタウイルスの侵淫状況を明らかにした。(2)ロシア極東地域におけるハンタウイルスの侵淫状況を明らかにした。(3)ヒトサル痘の診断法を確立した。ウイルス性下痢症については、(1)サポウイルス中空粒子の作製法を確立した。(2)ロタウイルスのリバースジェネッチクス系を確立した。(3)わが国におけるロタウイルスの流行株の状況を明らかにした。狂犬病については、(1)フィリピンにおける狂犬病ウイルスの流行株が明らかにした。(2)タイにおいて流行する狂犬病ウイルス株の特徴が明らかにした。(3)狂犬病ウイルスに対する初期の免疫応答を明らかした。研究により、ウイルス感染症のアジアにおける流行状況が正確な検査法に基づき把握された。
結論
アルボウイルス研究において、日本脳炎ウイルスとダニ媒介性脳炎ウイルスを鑑別する検査法を確立した。ウイルス性出血熱研究において、インドの不明熱患者中にハンタウイルス感染者が確認した。アジアや極東ロシアにおけるハンタウイルスウイルスとげっ歯類との関係を明らかにした。ウイルス性下痢症の研究において、ロタウイルスのリバースジェネティックス系を開発した。ロタウイルス流行株の分子基盤が示唆された。狂犬病研究において、フィリピンとタイにおける流行株の分子疫学的特徴を明らかにした。以上よりアジアにおけるウイルス感染症に対する予防対策のための科学的基盤を確立した。

公開日・更新日

公開日
2007-05-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200604005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
アルボウイルス研究において、日本脳炎とダニ媒介性脳炎を鑑別する検査法が確立された。ウイルス性出血熱研究において、インドにおいて不明熱患者中にハンタウイルス感染者が確認された。アジアおよび極東ロシアにおけるハンタウイルスウイルスとげっ歯類との関係が明らかとなった。ウイルス性下痢症の研究において、ロタウイルスのリバースジェネティックス系が開発された。ロタウイルス流行株の分子基盤が示唆された。狂犬病研究において、フィリピンおよびタイにおける流行株の分子疫学てき特徴が明らかとなった。
臨床的観点からの成果
ウイルス性出血熱研究において、インドにおいて不明熱患者中にハンタウイルス感染者が存在することから、南アジアや東南アジアからの帰国者においてもハンタウイルス感染症を疑う必要がある。狂犬病研究において、フィリピンおよびタイにおける流行株の分子疫学的特徴が明らかとなった。平成18年、日本人2名がフィリピンにおいて狂犬病ウイルスに感染し発症した。狂犬病がアジアにおいて大きな問題であることが再認識され、狂犬病輸入例の確定診断のためにも、本研究で得たアジア各国での狂犬病ウイルス株の基礎デーが重要である。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
なし
その他のインパクト
平成18年7月27-28日、横浜市において「発展途上国におけるウイルスワクチン」に関する国際シンポジウムを開催した。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
34件
その他論文(和文)
6件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
24件
学会発表(国際学会等)
20件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Obara, M., Yoshii, K., Kawata, T. et al
Development of an enzyme-linked immunosorbent assay for serological diagnosis of tick-borne encephalitis using subviral particles.
Journal of Virological Methods , 134 , 55-60  (2006)
原著論文2
Imoto J and Konishi E
Imoto J and Konishi E: Dengue tetravalent DNA vaccine increases its immunogenicity in mice when mixed with a dengue type 2 subunit vaccine or an inactivated Japanese encephalitis vaccine.
Vaccine , 25 , 1076-1084  (2007)
原著論文3
Oka T, Yamamoto M, Katayama K et al
Identification of the cleavage sites of sapovirus open reading frame 1 polyprotein.
Journal of General Virology , 87 , 3329-3338  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-