国際保健における社会的健康決定因子に対する政策的取り組みの立案・実行・評価に関する研究

文献情報

文献番号
200603003A
報告書区分
総括
研究課題名
国際保健における社会的健康決定因子に対する政策的取り組みの立案・実行・評価に関する研究
課題番号
H18-国際-指定-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 英樹(東京大学医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 黒川 清(東京大学先端科学技術研究センター)
  • 鏡森 定信(富山大学 医学部)
  • 高野 健人(東京医科歯科大学大学院)
  • 川上 憲人(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 近藤 克則(日本福祉大学 社会福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 社会保障国際協力推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
6,475,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
世界保健機関「社会的健康決定因子に関する委員会(CSDH)」では、社会的健康決定因子に関する知見を集約し、関係国との対話を通じてその政策的重要性の啓蒙と提言を行うことを目的としている。本指定研究では、わが国ならびにアジアの関連研究者との連携・情報共有を推進することを通じて、CSDH会議において基礎資料の提示と、新たな政策枠組みの提言を行うことを目的とした。
研究方法
1.平成18年6月にナイロビで開催された第5回CSDH会議に出席し、世界保健機関・関連研究者などとの意見交換・調整を行い、CSDHが必要としている知見について明らかにする。2.教育・職階、職域ストレス、健康的都市づくり、高齢者の健康格差などの主要テーマごとに内外の文献・データや活動についてのレビューを実施し、次年度以降の国際的比較検討に備えることとした。
結果と考察
1.CSDH議長および各代表委員との意見交換を行い、CSDHの活動のさらなる展開を図るうえで、東アジアの知見が重要な情報を提供しうることについて期待がしめされた。それを受けて韓国・中国・タイ・台湾・インドネシアの主要な研究者を招請し、CSDH議長も同席して10月24日に合同会議を開催した。現状の知見・情報の交換と活発な比較・討論を展開、これを集積したのちCSDHへの中間報告書を作成することで合意した。
2.死亡率、有病率、保健行動に学歴による差があること、社会経済状態で上位にある職業で健康度が高いとの報告が多かったが、男性より女性では相対的に影響が明瞭でないとする研究が多かった。また日本およびアジアでは、欧米とは異なり仕事の要求度が虚血性心疾患を指標とした場合の健康の決定要因となっている可能性があることが示唆された。Healthy City Projectは現在、環太平洋9ヶ国の50都市ならびに14の研究機関等により構成される国際組織として発展し、政策的示唆を与えてきた。わが国の高齢者コホートで,転倒経験や健診非受診,虐待などと等価所得や教育年数との関係が見られた.
結論
日本ならびにアジアにおける社会的健康決定因子に関する科学的根拠を取りまとめた。今後、政策的基礎資料をアジア圏ならびにCSDHと共有できるよう中間報告書の作成を急ぐとともに、次年度研究においては、そこからアジア的健康政策モデルの構築を進めるための提言に向けて、活動を継続したい。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
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