途上国における公共保健医療サービスの質・安全の確保に関する政策研究

文献情報

文献番号
200603002A
報告書区分
総括
研究課題名
途上国における公共保健医療サービスの質・安全の確保に関する政策研究
課題番号
H17-国際-一般-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
上原 鳴夫(東北大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学大学院医療政策学講座)
  • 岩崎 信(東北大学大学院教育情報学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 社会保障国際協力推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,173,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、限られた医療資源のもとで医療の質と安全を確保するという課題を実現することをめざし、WHO本部およびWHO西太平洋地域事務局の政策等と緊密に連携を取りながら、質・安全にかかる技術協力について日本とアジア諸国の医療政策形成に資する指針とその根拠を提供することを目的とする。
研究方法
フィリピンのパラワン州を例とする保健情報システム(FHSIS)の質評価のほか、ケソン市における結核対策プログラムの質評価と医療安全にかかる医療者の認識について調査し、政策課題について検討した。 
結果と考察
保健情報システムにおける報告プロセスの精度と指標データの信頼度に関する評価調査の結果:
報告システムをプロセスに区分し、主な指標について「対象指標数x施設数」の数の報告値を標本として、インプットとアウトプットが一致した率を調査した。 18指標に関する州レベルでの一致率は66.7%、市保健局レベルでは28.4%だった。 バランガイ保健ポスト(BHS)と保健センター(RHU)の仮の暫定分析結果は88.5%であるが、不規則データについてなお分析中である。
エラーの要因は転記ミス、計算ミスなどのヒューマンファクターのほか、平行するプログラム別報告システムの存在や書式の問題、指標定義のあいまいさなどの要因が認められた。 収集された指標データの信頼度をみるために、データ収集者に対する指標定義の理解度を調査した結果、エラーが懸念された11指標に関する正答率は7%から72.8%で、正答率50%未満の指標が7指標に上った。 
その他の調査: 医療安全意識に関するアンケート調査は66病院を対象としたが回収率は報告時点で20%にとどまり、調査を継続中である。 これまでの調査では病院の医療安全に対する意識はまだ低く、訴訟への警戒心が先行している。 結核プログラムについてはケソン市にて受診行動に関する調査を実施中である。
結論
保健医療システムの質管理にとって、保健情報・管理情報にかかるデータの質の確保が重要な課題であり、保健情報システムの質を改善するためには、プロセス管理のしくみのほか、関連プログラムなどの環境変化に対応する継続的改善のしくみ、および適正指標の設定と周知が重要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2007-08-08
更新日
-