文献情報
文献番号
200602006A
報告書区分
総括
研究課題名
電子医療情報の有効利用による傷病および医療機能に関する統計情報の収集・分析・利活用の効率化と充実のための方策に関する研究
課題番号
H18-統計-一般-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
伏見 清秀(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科医療情報システム学)
研究分担者(所属機関)
- 阿南 誠(九州医療センター 企画課専門職、診療情報管理室長)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 統計情報総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
1,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
急速な人口構造の高齢化に伴う多くの厚生行政の課題へ対応するために、IT技術を応用した医療関連統計調査の充実と利活用が求められており、医療機関内部に蓄積されている貴重な電子的情報の有効的な利用が必要とされている。そこで本研究では、医療機関内の電子データと、統計調査として必要とされるデータの関連性を明らかとすること、それらの電子データを統計調査データとして収集する仕組みを示すこと、このような環境の変化を背景に、統計調査の質と効率性の向上を図る方策を示すことを目的とした。
研究方法
平成17年度までの患者調査への対応に関するアンケート調査を、診療情報管理担当者を置く比較的高度な診療情報管理を実施している28の急性期病院に対して実施した。調査内容は、患者調査等の各項目に関連する医療データの電子化の状況、調査データ記入担当者と情報源、病院所属性とした。傷病名データに関しては、医療機関での対応方法、その精度、改善案等を調査した。また、複数傷病名を用いた分析方法として、DPC調査データを利用して、Charlson副傷病情報を活用した重症度補正の国際比較、副傷病調査のあり方の検討を実施した。
結果と考察
その結果、患者調査の情報担当者、情報源は多様であり、電子化・標準化が進んでいるレセプト情報だけではなく、診療録情報から標準的に調査関連データを抽出する方策の検討の必要性が示された。この観点からDPC調査データの方式が参考になると考えられた。副傷病調査では、DPC調査に準じた複数傷病名を収集することで国際比較可能な傷病情報が確保されうること、患者病態のより正確な把握に結びつけられることが示された。
また、複数傷病把握の意義として、受療率の考え方の修正とより正確な病態の把握の2つがあり、後者が重要であること、その把握方法として複数病名記録方式とチェックリスト方式があり、前者は調査の電子化が前提であるが、有用な情報を得られること、後者は、適切なチェックリストの選択により実現可能であるが、その解釈と活用方法に未知の部分が大きく、拙速な導入は望ましくないことが考えられた。
また、複数傷病把握の意義として、受療率の考え方の修正とより正確な病態の把握の2つがあり、後者が重要であること、その把握方法として複数病名記録方式とチェックリスト方式があり、前者は調査の電子化が前提であるが、有用な情報を得られること、後者は、適切なチェックリストの選択により実現可能であるが、その解釈と活用方法に未知の部分が大きく、拙速な導入は望ましくないことが考えられた。
結論
本研究により、患者調査の電子化に向けてその意義と課題が明らかとなり、また、複数傷病名を含む患者調査データ分析のあらたな視点が示されたと考えられる。今後、引き続き調査検討対象を広げて研究を進める必要があると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2007-04-23
更新日
-