我が国の統計における死因及び傷病構造の把握精度の向上並びに国際比較の可能性向上に関する具体的研究

文献情報

文献番号
200602003A
報告書区分
総括
研究課題名
我が国の統計における死因及び傷病構造の把握精度の向上並びに国際比較の可能性向上に関する具体的研究
課題番号
H17-統計-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山本 修三(社団法人日本病院会)
研究分担者(所属機関)
  • 大井 利夫(社団法人日本病院会)
  • 川合 省三(大阪南脳神経外科病院)
  • 島津 邦男(埼玉医科大学神経内科)
  • 西本 寛(国立がんセンターがん対策情報センター)
  • 三木幸一郎(北九州市立門司病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 統計情報総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
1,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の死因統計は死亡診断書の内容からICD-10により集計されているが、その原死因がどのくらい正確であるかについて解析する。
研究方法
特定機能病院など198病院を対象に死亡診断書と退院時要約等を匿名化し10症例ずつ提供してもらった結果123施設(62%)の回答を得た。有効回答1224症例について診療情報管理士である医師グループと診療情報管理士グループに分かれ二重チェックし、更に中心メンバーが点検した。死亡診断書の内容から原死因を決定し、また退院時要約の傷病名と記載内容を吟味して想定される原死因にも各々ICDコーディングした。これらにより死亡診断書からの原死因と退院時要約からの原死因の異同を、①ICD3桁が一致、②ICDの「章」は一致している、③ICDの「章」も異なる、3つについて分析。
結果と考察
死亡診断書、退院時要約ともに読めない字で記入したものがある。特に死亡診断書に疾患の詳細が書かれていないものが多く、原死因となるべき疾患名が無記入のものがある。退院時要約の傷病名も十分とはいえず、記載内容から正確な疾病名がわかる例もある。死亡診断書からのコーディングに基づく原死因分類では半数は「新生物」であり、循環器系、呼吸器系の疾患が続いた。死亡診断書からの死因のコーディングと退院時要約の検討からのコードの異同については、ICD-10の3桁分類までが一致した症例が81%、「章」が異なる症例は8%(約100例)あった。
結論
解析結果から①医師に対しての死亡診断書の記載についてのその意味・ルールの教育が必要である。②死亡診断書のフォーマットについて再検討が必要である。③原死因の選択ルールの整理等が必要である。④退院時要約の「標準化」が必要である。⑤死亡診断書、退院時要約に診療情報管理士の介入が望ましい、などの点を改善のため提案し、今後検証すべきと考える。

公開日・更新日

公開日
2007-06-05
更新日
-

文献情報

文献番号
200602003B
報告書区分
総合
研究課題名
我が国の統計における死因及び傷病構造の把握精度の向上並びに国際比較の可能性向上に関する具体的研究
課題番号
H17-統計-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山本 修三(社団法人日本病院会)
研究分担者(所属機関)
  • 大井 利夫(社団法人日本病院会)
  • 川合 省三(大阪南脳神経外科病院)
  • 島津 邦男(埼玉医科大学神経内科)
  • 西本 寛(国立がんセンターがん対策情報センター)
  • 三木 幸一郎(北九州市立門司病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 統計情報総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の基礎資料を得るため診療情報管理の現場を対象として現状を把握するための調査・解析を実施し、医療機関からのデータ提供による死亡診断書および退院時要約の国際疾病分類コーディングの「精度」の状況に関する現状と課題を把握する。一方、コード検索が容易で、ICD-10のアップデートにより容易に対応できる日本語版国際疾病分類関連用語データベース群の構築を試みる。また今回、脳血管障害関連用語に焦点をあて、日本神経学会と日本内科学会の用語集と国際疾病分類中の脳血管疾患の「適切さ」に関する現状を把握する。
研究方法
①特定機能病院などのICD-10に関する諸問題等について医師と診療情報管理士を対象とする調査。②①から回答のあった特定機能病院などからの死亡診断書および退院時要約のコーディングの「精度」に関する調査。データから1224症例の解析を診療情報管理士の医師と診療情報管理士に分かれ二重点検等を行なった。死亡診断書の記載のみから原死因を決定しコーディングをし、一方で退院時要約の傷病名と内容を吟味して原死因を特定しコーディング。最終的には死亡診断書に基づく原死因と退院時要約から読み取れる原死因の異同を、ICDの3桁が一致等3つに分けて分析。
結果と考察
①医師より、分類体系の矛盾点-基礎疾患としての全身的分類と臓器別分類、二重分類規則の問題、分類が時代遅れであること、病名が時代遅れであること、脳神経障害における医学用語の差異、新生物の問題点、分類の粒度の問題、日本語訳の不備等の回答があった。②死亡診断書と退院時要約ともに判読できない字句が多く、原死因になるべき疾患名が欠けている。死亡診断書からのコーディングに基づく原死因分類は半数が新生物。続いて循環器系、呼吸器系の疾患。死亡診断書からの死因コードと退院時要約の内容からのコードの異同について、ICD-10の3桁分類までが一致した症例が約八割で、「章」が異なったのは約100例。
結論
医療現場でのICD-10をめぐる業務実態と医師の認識度の傾向を知ることができ、現在の課題と改善の提案が多く示された。コーディング上における日本語訳の問題、DPC適用との不整合の問題、実務使用上の索引表の問題等があり、診療情報管理士からは正確なコードを得るための問題が山積していることがわかった。医師に対しての死亡診断書の記載についての意義・ルールの教育が必要である、死亡診断書の「様式」の改善が必要である、原死因選択のルール等の整理や簡略化が望まれる、退院時要約の標準化が急がれる、診療情報管理士の介入等を改善のため提案し、今後検証すべきと考える。

公開日・更新日

公開日
2007-06-05
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200602003C