施設保育士養成カリキュラム開発に関する研究

文献情報

文献番号
200601048A
報告書区分
総括
研究課題名
施設保育士養成カリキュラム開発に関する研究
課題番号
H18-政策-若手-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
圓入 智仁(中村学園大学短期大学部幼児保育科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
2,960,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は、保育士養成校において「施設保育士」を養成するカリキュラムを開発することにある。従来の保育士養成カリキュラムは保育所に焦点化されており、保育所以外の児童福祉施設(以下、「施設」)に関しての講義・演習は、極めて少ない。しかし、だからといって、現行の保育士養成カリキュラムに施設に関する科目を設定することは、2年を前提としている修業年限では時間的に無理が生じる。そこで、現行の保育士資格を、保育所に特化した「保育所保育士」と、施設に特化した「施設保育士」に分離するとの仮説を立てる。この仮説に対する、施設の意見を聴取し、これらの施設で働く保育士に求められる知識や技術を具体的なカリキュラムとして設定する。
研究方法
 全国の乳児院や児童養護施設、母子生活支援施設、障がいを持つ子どもの施設、児童自立支援施設、児童相談所一時保護所などから10%を無作為に抽出して、「施設保育士」養成カリキュラムに関する意見、科目とその内容、施設での実習、国家試験としての「施設保育士」試験に関する意見を、自由記述を中心として尋ねた。
結果と考察
 回答を分析すると、60.9%(56カ所)が、保育所と施設の両方を対象とする、現行の保育士の養成課程に異議を唱えている。58.7%(54カ所)が、施設で働く保育士を養成するには、どのような資格を取得するにしろ、2年間の養成課程では短いと考えている。40.2%(37カ所)が、「保育所保育士」と「施設保育士」の分離を肯定的に考えている。20.0%(18カ所)が、施設で勤務する保育士には、社会福祉士あるいは介護福祉士の資格が必要だと考えている。「従来通り保育士を養成」と回答した施設の中には、授業科目の充実、学生の人格形成、現職教育の充実、修業年限の延長を求める意見もあり、現行の保育士養成課程に少なからぬ不満を持っていることが伺えた。
 新設すべき、あるいは充実させるべき科目としては、医学、身体障がい・知的障がい、心理学、家族対応、虐待、社会福祉の制度・法律、施設養護、生活全般・社会常識・マナー、保育が指摘された。
結論
 過半数の施設が「施設保育士」の養成を、また、ほとんどすべての施設が従来の保育士養成では対応できていない科目の新設や充実を求めている。これからの保育士養成には、これら保育所以外の児童福祉施設の意見を反映した、カリキュラムを作成することが必要である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-11
更新日
-